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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
346
先の第1部でのホットスパーの死によって大勢が決してしまっていたために、第2部はどうしても後日譚めいたものにならざるを得ないだろう。プロローグの噂による口上は、そうした情勢に再度火を燃え上がらせるためであっただろうか。構成的には、予告編を含むエピローグが配されることで釣り合いをとる。さて、肝腎の反乱は騙し討ちみたいで、それこそ火が消えたように終息する。以下はヘンリー4世の崩御と嫡子ヘンリー5世の即位と史劇は淡々と進む。放蕩児ヘンリーと王位に就いたヘンリーとは落差が大きいが、実際にそうしたものかもしれない。2022/02/28
まふ
100
ホットスパーの死はあったものの反乱軍は戦闘を続ける。ところが、王側の和議の誘いに乗り武装解除したところで計略にはまり首謀者は捕まり処刑され内乱はようやく終わる。ヘンリー4世王は病に倒れハル王子と和解して安らかに死ぬ。ハル王子はヘンリー5世となり、悪友のファルスタッフは報奨を期待するも変貌したヘンリー5世に拒絶され追放処分となる・・・。第1部に比し大きな活劇はなかったが、ファルスタッフの絶頂と没落などの動きもありなかなかに味のある一巻であった2023/12/28
きいち
30
第二部はハル王子の回心まで。というか、フォールスタッフだよな。とにかく笑わせようとする居酒屋パートのフォールスタッフが風刺を語る「噂」と同じ存在に見える。さて、四世はやっぱり名前だけかと思ったら、死の直前に王座についた苦悩と息子への期待で長台詞、演じるとすれば突然のキャラ発生できっと大変…。◇王座に上って回心するハルは、うーん、なんだか一気に人間味がなくなる。ホットスパーとの死闘の後もフォールスタッフ揶揄うためにポインズとぐだぐだやってるあたりはけっこう好きだったんだけどな。◇さて、次はウインザー行こう。2019/04/11
ネロ
21
血で血を洗う様な史実の中、王子の悪友フォールスタッフが道化役として緊張緩和を担っているのが特徴的。大出世で終わらせないところがまた皮肉で面白い。本筋とは違うが、内乱の中でも聖地遠征の十字軍に拘る王に疑問を感じていたが、今際の時に王子へ語った言葉で納得。内乱の分子に遠方での仕事を与えることによって逆に平和を保とうと考えていた、と。そして5世へ。肉親で争う血みどろな世界が王冠を引き継いだヘンリー5世によって、今後統治されそうな雰囲気でその後が楽しみだ。ランカスター公ジョンは騙し討ちする酷い奴だから要注意か。2022/11/05
加納恭史
17
藤沢周平さんの話には必ず政治の勢力争いがからむ。その味わいは深い。シェイクスピア研究者の松岡和子も推薦した。そこで久々にシェイクスビアの物語に戻る。シェイクスピアにも歴史的な王朝争いも多い。どんなものかなとこの本を読む。昔味わったように言葉の言い回しが、とても面白い。だから気楽に読もう。反乱者のフォールスタッフと法院長の言葉から。フォールスタッフは言う、「私は「ヨブ記」の主人公並みに貧乏ですが、とてもあんなに辛抱強くない」。また別の言葉、「君子危うきに近寄らず、遠きにありて思うもの」。これは患者の言葉。2024/07/22
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