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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
93
ヴェローナの若きヴァレンタインとプロテユースの友情と恋の物語。ヴァレンタインとシルヴィア両人の愛情は強いが、プロテユースはふらふらしてジュリエットを捨ててシルヴィアを得ようとする。最後はプロテユースが改心して元のサヤに収まるものの、全体が「あらすじ」的に雑な感じで、場面ごとの深みが無いまま進み、本来のシェークスピアらしさが希薄。プロテユースとの友情は復活するが、この男はこれからも信用のおけない軽薄な人物であるように思え、この作品の魅力を阻害している。上演の機会の少ない作品である所以が妙に納得できた。2023/08/10
有沢翔治@文芸同人誌配布中
15
シェイクスピアは難しいと思われがちですが、そんなことはありません。この『ヴェローナの二紳士』は典型的なラブコメ。友人の恋人を好きになって……というあらすじは現代でもあるような?2018/03/18
白義
15
シェイクスピア喜劇としては最初期の作品のようだが、それだけにやはり凡庸な感じが否めず、シェイクスピアにも凡作はあったのね、って感じの一品である。なにぶんストーリーを動かすプローテュースの変節と改心があまりに唐突で、周りもそれに甘く、それが無理やりに見えてしまう、とダメ主人公を甘やかす素人作家のようなわかりやすいストレス要素。しかも所々不自然にキングクリムゾンでもかけたと思しき時系列や地理上の混乱があり、ぶつ切れ感がある。ヒロインのシルヴィア、ジュリアは比較的生気に満ちた描写なのが救い。まさに初期の習作2015/12/10
viola
9
最近ボッカッチョの『デカメロン』を読み、(シェイクスピアは『為政者の書』から取ったらしい)これの元ネタだったので久しぶりに読んでみたけれど、類似点は少ないような?正確な創作年代は分かっていないけれど、どう考えてもかなり初期なことは確か。『十二夜』などの円熟期の喜劇に繋がっていく様子は伺えるのですが、まー最後は無理やりですよね・・・。『終わりよければ~』みたい。なんにも良くないって。一番好きな台詞は「理由と言われても、私には女の理由しかありません、つまり、そう思うからそう思う、というにすぎません。」2011/07/25
loanmeadime
8
小田島さんの例のやつが激しく炸裂しています。ネタバレですが、こんなの。・・・”ぐずぐずしてると乗り遅れるぞ。” "糊をくれたらどうなるっていうんだ?"・・・また原文かぁ。楽しいけど。2019/02/22