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内容説明
滑稽、悲哀、苦悩、歓喜、陶酔……。奇蹟としか言いようのない深い洞察力によって人間のあらゆる感情を舞台の上に展開させたシェイクスピアの全劇作を生きた日本語に移した名翻訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
118
小田島氏の平易な訳が光る。「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」なるほどなるほど。だが、これを繰り返し味わっているうちに、まだすこしばかり違和感が残る。うむ、まことに難しい一言だ。この作品は故父王の亡霊が出てくること以外はシェークスピアのいつも用いる突飛な道具立て(男女入れ替え、一時死亡薬、双子の入れ替え等)のない同一平面上での(?)展開であり、安心して物語に没入できる。オフェーリアが脇役的に目立たず死んでゆくのもいい。今更ながらシェークスピアの卓越した手腕を認識できた。 2023/11/26
ちゅんさん
57
最近読む本にハムレットが出まくっていたのでもういい加減読もう!と思い手に取った。以前『マクベス』を読んだちくま文庫の松岡訳も悪くなかったけど、今回選んだ小田島訳はもうビックリするぐらい読みやすかった。戯曲は読みづらいと敬遠してたのが悔やまれる。でも正直期待したほど楽しい読書ではなかったが古典作品は時間をおいてじわじわと自分の中で育ってくることが多いのでこの作品もそうなるといいな、と思っています。2020/09/07
翔亀
36
ゲーテ「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」の中盤、主人公は劇団でハムレットを演じる。というか専らハムレットをどう演じるのかがストーリーの大部分を占める。何故ハムレットなのか、当時のドイツの演劇界の人気のせいなのか、ゲーテの好みなのかはわからないが、シェイクスピアは、自分には適さない重荷を背負ってしまったハムレットを描こうとしたと論じられる。「可憐な花を植えるために作られた高価な鉢に樫の木を植えるようなものだ。樫は根を張り、鉢は壊れる」。あれ、そうだったっけと再読してみた(10年以上ぶり)。↓2020/09/26
きゃれら
26
久しぶりの再読。有名な西部劇映画「荒野の決闘」でドク・ホリデイが台詞をそらんじるのを観て、読みたくなった。前に読んだ時の印象は「ふうん」くらいだったが、今度は台詞の言葉の豪華絢爛さに感銘した。これは引用したらカッコいい。お芝居だから、それでいいのかな。 2022/10/21
マウリツィウス
26
【ハムレット再考】デンマーク王子の結集させた英国統一合致論は《宇宙》主題を普遍に据えることでギリシャ時代の可能としていた幻想懐郷を再起させる。コペルニクス的視点ではない一人物主体による空間支配はたったの一場面における悲劇を最上至高のものへと変える。シェイクスピアの劇の常套手段である運命支配論とは古典方法論を意識化することで内省機能を生じさせる。拡大されるカオスの正体とは観念世界の追求ではなく古典神話を崩壊させることで、ギリシャ神話の伝統性はこの詩人により英国の独創性に置き換えられる。英文学の創始者の極み。2013/05/06