出版社内容情報
著者は危機管理学とリスク・コミュニケーション、テロ対策の専門家。第一次安倍政権が発足した2006年から、内閣官房、総務省でテロ対策や危機管理に関する政策の検討に携わってきた。
現代のテロリズムは、「政治的な影響を与える暴力的行為」すなわち社会へのインパクトを重視する。安倍晋三銃撃事件はオーディエンスに消費される劇場型犯罪であり、容疑者の家庭問題から旧統一教会、自民党との関係という政治的問題にメディア・アジェンダ(議題)を変容させながら展開した。たとえ安倍政権への政治的不満に由来しなくとも、「テロリズム的」と呼べるゆえんである。
「政治と暴力」は結びついており、「日本はテロとは無縁の国」は幻想に過ぎない。蘇我入鹿や吉良上野介、井伊直弼、大久保利通、伊藤博文、犬養毅、浅沼稲次郎。いずれも日本政治史における「要人暗殺テロ」の犠牲者である。
「警備の見直し」や「武器・材料の購入規制」などの対症療法を超え、最先端の危機管理学に基づく「根本療法」を考える。
第1章 政治と暴力の関係
第2章 安倍晋三元首相銃撃事件
第3章 テロリズムとは何か?
第4章 日本とテロリズムの深い関わり
第5章 テロリズムを分析する軸
第6章 現代的テロリズムの特徴と変容――無差別テロへ
第7章 アメリカのテロ対策から学ぶ4つの機能
第8章 日本のテロ対策と要人警護はどうあるべきか
内容説明
近年のテロリズムの特徴は、一般市民を狙った無差別テロであった。しかし2022年7月、安倍晋三元首相が街頭演説中に暗殺される事件が発生。大統領や首相など国家の要人であれば厳重な警備が敷かれる一方、同じく特定の要人である元首相に対して比較的、容易にテロが成功してしまった。安倍晋三銃撃事件は、最も古いタイプのテロリズムである「要人暗殺テロ」に分類できる。民主主義国家におけるテロの発生をいかに防ぐべきか。危機管理学、リスクコミュニケーションの専門家がテロリズムの分析から政治と暴力の関係に迫り、問題の本質と教訓を解き明かす。
目次
第1章 政治と暴力の関係
第2章 安倍晋三元首相銃撃事件
第3章 テロリズムとは何か?
第4章 日本とテロリズムの深い関わり
第5章 テロリズムを分析する軸
第6章 現代的テロリズムの特徴と変容―無差別テロへ
第7章 アメリカのテロ対策から学ぶ4つの機能
第8章 日本のテロ対策と要人警護はどうあるべきか
著者等紹介
福田充[フクダミツル]
日本大学危機管理学部教授、同大学院新聞学研究科教授。昭和44(1969)年、兵庫県西宮市生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は危機管理学、リスク・コミュニケーション、テロ対策、インテリジェンス、災害対策など。内閣官房等で防災、テロ対策、国民保護、新型インフルエンザ等に関する委員を歴任。元コロンビア大学戦争と平和研究所客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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