内容説明
戦争中の爆撃で石垣だけになっていた名古屋城。市民にとって城再建は悲願となった。立ち上がったのは地元商店主たち。街頭での募金活動、戦国武将のパレードなどで盛り上げた。昭和30年、ようやく再建決定に漕ぎつけるも、その後も問題が続出する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
17
戦災で焼け落ちた名古屋城の再建、船が錯綜する東京湾の安全のための海上交通システムの創出などいずれのプロジェクトも印象深いが、圧巻はやはり黒四ダムの建設の話だった。延べ一千万人が携わった未曾有の規模だけでなく、その過酷さも凄まじかった。「黒部にけがはない」という言葉のように、峻厳な黒部峡谷では事故は即、死を意味した。資材を運ぶためのトンネル工事では脆弱な破砕帯に遭遇し落盤に怯え、溢れ出る雪解け水に凍える一方、火山帯にぶつかった地下導水路建設では百度の熱湯が吹き出す灼熱地獄となる。⇒2021/10/30