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内容説明
天皇の側近である蔵人頭に抜擢され、一条天皇や東三条院、藤原道長の篤い信任を得て昇進を重ね、権大納言にまで上りつめた藤原行成。彼が書き残した摂関期の日記が『権記』である。宮廷の政治や儀式がこと細かく記録されており、当時の政務運営や権力中枢の深奥、秘事までが把握できる貴重な史料といえる。貴族たちの知られざる日常生活を記した興味深い出来事を厳選し、原文・現代語訳と書き下し文、コラムと解説を収載する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
78
日本の古典を高校時代などにかなり勉強したのですがこのような資料があるとは思いませんでした。大鏡や栄花物語の一部は読んでいたのですが。それこそ御畳奉行の日記やピープス氏の日記などとも比肩されるのでしょう。三蹟の一人だといわれているようですが、個々には毎日の出来事や自分の感情などが書かれていてひとりの人間としての記録で楽しめました。2022/06/02
しゅてふぁん
60
平安貴族の中で誰が一番好きかと言われたら、真っ先に「藤原行成!」と答える(←こんな質問されたことないけど(笑))。私の中のイメージは堅物で真面目で字が上手な貴公子、だったけど、この本の解説を読むと野心家な一面や独特の宗教観を持っていたことが分かった。平安貴族はとにかく雅で宴や歌会を開催していた印象が強いけど、政権の実務を担う公卿公達はとにかく忙しいということがも良くわかる。今とは風俗が違い過ぎるところも興味深い。解説と共に読む日記はとにかく面白い!現存する権記の全てについて解説して欲しいな。2021/10/02
翡翠
12
物語ではなく、記録。藤原行成による道長の宮廷日記。記録なので、途切れていたり、淡々と書かれているのだが、それでも行成の苦悩や喜びが感じとれ、歴史の中の一人から個人が浮き上がってくる。2022/02/16
若黎
12
講談社学術文庫版に挫折したので、こっちを先に。。。 最近買ったはいいが挫折が多い。。。2021/10/23
山崎 邦規
5
藤原行成の日記。淡々と公卿の勤めを語っているところが、逆に真に迫ってくる。物忌みや占いによって行動を決めるところは、古代人の事の進め方としてイメージに合致している。現代人の感覚に近いところでは、当たり前だが、近しい人が亡くなれば、哀泣するし、出産もまた大きな出来事である。また、理非曲直を論じるよりも、出来事を語る方が好きだったようで、その点は日本的である。古代貴族の生活ではあるが、我々現代人にも訴えるその力からして、時空を超えた視点を持っていたということだろう。2023/09/29