内容説明
雅な和歌とともに語られる「昔男」(在原業平)の一代記。垣間見から始まった初恋、清和天皇の女御となる女性との恋、白髪の老女との契り、男子禁制の斎宮との一夜などを経てやがて人生の終焉にいたる様子を描く。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
目次
透き間から昔男の忍ぶ恋(初段)
春雨をながめて日がな想う女(二段)
ひじき藻に熱い思いを贈りやる(三段)
月と春去年も今年も変わらぬが(四段)
童の崩した築地は恋の路(五段)
芥河はかなき女は露と消え(六段)
うらやまし京恋しやかえる浪(七段)
友と見る浅間の山に立つ煙(八段)
東下り―東国の沢に淋しくかきつばた(九段‐一)
東下り―道暗く夢にも宇津にも逢わぬ女(九段‐二)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
116
恋愛を中心に、友情、家族愛、社交など人間関係の歌ではあるのですが、殆どが恋愛で結構エゲツナイなぁという印象でした。一方で、男女がお互いに追い打ちをかけるような返歌の応酬には声出して笑ってしまいました。2025/12/01
やいっち
47
内容案内には、「(前略)王朝の人間模様を生き生きとつづり、後世の日本文化に大きな影響を与えた作品。現代語訳・原文・注釈・コラムなどによって、哀切な純愛から年をとった男のいささか滑稽な姿までを縦横に楽しめます。」とある。コロナ禍の頃、『源氏物語』に悪戦苦闘した苦い経験があるだけに(ウェイリー版 源氏物語も全巻読み通したが、原文の味わいを楽しむには物足りなさの感)、編者の坂口由美子による現代語訳や寸評などもあって、親しみやすかった。やはり日本の古典にも折々触れておきたいものである。(以下略)2026/03/23
ちゃいろ子
39
いかに数多くの歌や物語、美術作品などが伊勢物語の影響を受けているのか、というか伊勢物語を知っている前提で描かれているのかを知り今更ながら驚いている。それを少しでも理解したくて読んでみた。 まだまだとても理解できたとは言い難いけれど、その世界に触れているだけで 幸せだと感じられるようになったのはとても嬉しいし、小さな一歩。 それにつけても何故学生時代、あんなにも古文の授業が苦手で苦痛だったのか。 あー、勿体ない。 あの時間取り戻したい 2026/02/08
ころこ
38
各段を現代語訳→原文→解説の順で書かれている。全体の半分くらいが収録されていて、前半を中心に後半になるにつれ省かれている。解説が平易なのがこのシリーズの特徴だ。現代語を読んだ後に原文を読むと思いのほか読み易い。「100分De名著」でイメージが湧いていたことが大きかったが、原文が地の文と会話文に分かれていて、会話文が概ね歌という規則も読み易い理由だろう。恋愛を豊かにするために言語があり、歌の技巧を挟むことで更に理解が遅くなるはずだが、なぜだか媒介を挟むことで、媒介を挟みたくない恋愛の目的には接近するのだ。2023/04/10
井月 奎(いづき けい)
37
毎度お世話になっております。角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス様。本当に助かります。古典や近代の名作を現代訳やコラムで読ませてくれて、なるべく編者の色合いを抑えた編集は古文をさぼりまくっていた私に古典の扉をあけてくれます。その上での『伊勢物語』です。万葉や古今などの和歌集も素晴らしいのですが、歌物語に仕立てたことで、地の文と和歌がお互いに補い合い、まさに昔男の優美さ、その他の恋する人々の心持ちが伝わってきます。人の関わりや恋路の迷路が、なんと人生を味わい深いものにするのかを教えてくれます。2016/11/12




