内容説明
現在も文楽や歌舞伎で上演されている「曾根崎心中」「国性爺合戦」をはじめとした近松の傑作5本のクライマックスをセレクトして収載。全体のストーリーが追えるよう、詳しいあらすじも付いて物語全体が楽しめる!
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
112
言葉が人形に命を吹きこむ。近松は読まれるために書いたのではない。演じるために書いたのだ。読むだけでは半分しかわからない。声に出して音を聴き、動きを想像して愉しむ。抑揚、リズム、ステップ、舞い。人形に与えられた命は、それらによって業にまで昇華される。言葉によってたくわえられた心はどこまでも純粋で、ときにもののけに取りこまれてその姿形までもかえてしまう。これほどまでに深い業、余計なものがいろいろとくっついた生身の人間には、とうてい演じられまい。人形だからこそ宿る。言霊(ことだま)とはよくいったものである。2017/12/20
壱萬参仟縁
25
同時代人のなぐさみとなり、演奏されることを前提に書かれた(3頁)。「出世景清(かげきよ)」、「曾根崎心中」、「用明天王職人鑑(かがみ)」、「けいせい反魂香(はんごんこう)」、「国性爺合戦」より成る書。世話物の世話とは世間の噂話。これに対する、時代浄瑠璃(70頁)。「当て込み」とは、世上の話題などを芝居に取り入れること(125頁)。明朝体太字で、たまに音読してみたが、当時のリズムを現代人としてのわたくしも共有できたので、おススメしたい読み方だと思える。意味も現代語で理解できるので助かる書。 2019/01/03
ykshzk(虎猫図案房)
12
角川ソフィア文庫の「ビギナーズ・クラシックス」。これはよく出来ています!文楽を見ても後ろの人形遣いが気になってしまったり、聴く文学である近松門左衛門、を聴いても分からない、という私にはこの本がとても良かった。これを読んで理解してから聴いたほうが、もったいなくない。人物相関図+あらすじ+各場面の現代語訳+浄瑠璃のテキスト、で他の文庫で挫折した「曽根崎心中」もばっちり。「出世景清」をはじめ収録されている五作品は江戸時代のベストセラーということで、どんなトピックが当時の人たちの心を捉えたのかが分かるのも面白い。2020/11/28
いとう・しんご
10
東アジア史を勉強する中で鄭成功を知り、和藤内という言葉くらいしか知らなかったので、江戸時代の人に恥ずかしい、と国性爺合戦を読もうと思って借りてきました。近松の代表作五本からさらに部分的にダイジェストしてあり、現代語訳と原文を比較して読みました。同時代のスペインもお芝居が盛んでしたが、スペインの、たとえばティルソ・デ・モリーナとかロペ・デ・ベーガに比べると筋立てもグッと複雑、登場人物もたくさん、当時の人びとが良くお話について行ったもんだなぁ、日本人って頭良い?と改めて感心しました。2024/04/17
spica015
7
やはり浄瑠璃は読むものではなく、聴くものであると痛感。原文でも大体の意味は取れるが、詞章に込められた言葉遊びの部分に気付き難く、太夫の朗々とした語りよってこそ得られる情感が掴みづらい。時代物も良いけれど、近松はやっぱり世話物が良い。『曾根崎心中』は手持ちの床本では少し端折られていたが、本書に掲載の元の文ではより悲哀に満ちた情景が描かれていて、大変興味深かった。『けいせい反魂香』は浄瑠璃らしいストーリーで、是非文楽で観てみたい。個人的には近松半二の方が好きなので、有名作品も多いし、続編を出して欲しいところ。2017/05/11
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