内容説明
ぼくは下町の不良だった──つねに新しいことに興味を持ち、過去を振り返るのは年寄りの証拠というJ・J氏も、読者の強い期待に答えて、子供時代のことを書かないではすまされなくなった。甚一少年の青春を育んだ下町の情緒を伝える、自伝抄を一冊にする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
78
初出は伝説の雑誌『ワンダーランド』や『宝島』に載せられたエッセイ集。植草甚一氏のエッセイで面白いのは読者向けというよりいつも自分の思いつくまま見たまま書いているように思う。街をぶらついておいしいコーヒーを飲ませる喫茶店のこと、通りがけに見かけたおもしろいデザインのシャツを買ったり古本屋でどっさり買った本が持ちきれないのでタクシーに詰め込んだとか素敵な切手を見つけてコラージュを作ったり他。氏はいまどきのブログの先駆けのようなものをすでに書いていたのではないか。こんなアナログな人はもう現れないかなー。図書館本2019/05/02
Saku
10
作品を楽しみたいのであって、あまり作家の人生に興味がもてないものだから、自伝と聞くとこういう人生を歩んできたみたいな重苦しいものをイメージして身構えてしまったが、読みはじめてみると散歩で寄ったどこそこのお菓子がうまいとか、ああいつもの植草さんだと一安心。楽しく読んだ。 2023/04/20
Galilei
3
日本橋の商家の紛う方なきボンボンである。いつも庇ってもらった姉フェチ。幼い頃から気が弱いので、自分の世界の中で生きてきた。無用な遠慮から、「ぶどう餅」への再会すらままならない。株屋の丁稚に奉公した、ワンパクの池波正太郎だったら、事もなげに探し出すか諦めるか勝負が早い。それにも拘わらず、凄いのは、中学生でジャック・ロンドン『野生の呼び声』の原書を読み始めたこと。自分も20代の頃、この本をきっかけに読み出したが、ニュアンスが分からずなかなか進まない。本編は、jj氏のルーツを垣間見る大切な証人といえよう。
shiaruvy
3
【2005.10.30 初版】これも,お宝本♪2017/12/30
ゆりっぺ
2
1999年2月23日