内容説明
1920年代末より、アメリカではモータリゼーションの進展に対抗すべく「電気鉄道経営者協議委員会」が結成され、「PCCカー」と呼ばれる防音防振に配慮した高性能な路面電車を開発、規格を制定しました。日本でもその技術に着目し、規格を継承したTRC社のライセンス下での製造を模索しますが、高額なライセンス料や過剰な性能、日本の路面電車には馴染まない操作方法などから1両で断念、以後は1953年に組織された「六大都市無音電車規格統一研究会」制定の規格に則り、国内の独自技術による「無音電車」と呼ばれる高性能電車が各地に登場しました。しかし、その後高度経済成長を迎え路面電車の衰退が進む日本ではその先進技術が保守面で持て余され、他社への譲渡も一部に終わりました。本書では1953~56年に東京・名古屋・大阪・神戸などに投入された、これらの新技術を取り入れた「無音電車」各形式について解説します。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
えすてい
4
本書は「公営カルダン車編」であるため、サブタイトル通り公営のカルダン車に限定されている。しかし、本書あとがきで民営鉄道編も準備中であり、そこには公営のツリカケ駆動ながら「無音電車」並みの機器を搭載した「準・無音電車」も纏めるようだ。具体的な刊行予定は明記されていないが、民営だと公営よりも少ない気がするので(西鉄・阪堺以外にどこがあるか?)公営の「準・無音電車」もそこに纏めるのは必然なのかもしれない。さて、無音電車は名古屋市電でも一定の勢力を築いていたので、名古屋市電の無音電車も漏れなく掲載されている。2024/09/24
えすてい
4
アメリカの路面電車「PCCカー」を参考に、戦後の日本でそれまでの路面電車車両(※ツリカケ駆動直接制御)を根本的に覆す新型車両、すなわち多段式間接制御・弾性車輪・カルダン駆動の採用である。アメリカのライセンス生産だった都電5501を皮切りに、大都市公営が主導権を握り試作要素を含めた車両から量産化され一定の規模を誇った車両までいろいろあるが、路面電車の相次ぐ廃止により長くは続かず、また特殊過ぎる機器などから地方に譲渡されるのも大阪市電の鹿児島市電譲渡だけである。著者も直接は知らない世代だが助言者がいたようだ。2024/09/23
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