内容説明
口入屋『宝生屋』番頭の久次郎と町火消し吾平の惨殺体が立て続けに見つかった。風烈廻り与力・青柳剣一郎は手口の残忍さから同一犯と断定。宝生屋・主の与五郎が二人と博打仲間だったと知り遺恨を疑うも、与五郎は身に覚えがないと言う。だが与五郎も謎の刺客に襲われ、15年前の悲惨な事件が浮上する…。哀しみの果てに己を捨てた復讐鬼を、剣一郎はどう裁く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
88
風烈廻り与力・青柳剣一郎「霧に棲む鬼」38巻。京三さん15年前の遺恨のために鬼となるが、最後は青痣与力剣一郎さんの、情けが良かったですね、死んだと思っていた京三の妻、息子に会えて鬼から仏になりましたね。文七、太助次巻はどうなるのかな?2017/07/24
いつでも母さん
87
好きなシリーズの最新巻。いや~今回はまた最後までしっかり読ませてくれました。青痣与力がかっこいい!巧い話の紡ぎ方に脱帽でした。町火消し『と』組と大名各自火消し双方の面子を立てたり、今は京三を名乗る男の15年前の遺恨を暴く。が、厳しいだけじゃない!情けもあるんだなぁ。殺されたと思っていた息子の存在に悔い改めるも市中引き回しの京三に、死んだと思っていたその妻・おしんの姿を見せるあたりぐっときましたねぇ。そして今回は妻の異母弟・文七の生い立ちがはっきりする。次回からは太助がレギュラーなのか?2017/04/19
ベルるるる
23
妻も息子も殺された男は、復讐の鬼となって甦る。でも、実は、妻子は生きていて・・・。あまりに哀れで、悲しい話だった。剣一郎の思いやりで少しは救われるけど、どう考えても辛い話だった。文七のこれから、太助のこれからが気にかかる。2017/07/13
真理そら
5
やっと文七の素性がはっきりした。義弟が登場したりして多恵周辺の状況が描かれていたのがうれしかったし、蚤取り太助のキャラクターもいいが、本筋は切ない話だった。こういう割り切れない切なさと救いを描くのがこの作者はうまいと思う。青柳家の人たちは全員魅力的ではあるものの、やはり剣一郎が巷の悲しみや喜びとともに活躍する今回のようなパターンが好きだ。2017/04/12
goodchoice
3
人間とは復讐に捕らわれるとかくも厳しい思い入れを持つものなのか。今回ばかりは剣一郎も苦しい選択だった。2017/07/19