内容説明
人助けか、死に場所を求めていたのか――
付け火で燃え盛る家に飛び込んだ男が、命と引き換えに守りたかったものとは?
剣一郎、己の無力さに懊悩する!
女の絶叫が昼間の露月町に響き渡った。燃え盛る家に赤子が取り残されていたのだ。青柳剣一郎が駆けつけると、火中へ飛び込む男が。鋳掛屋の長次だ。
その勇気に感心した剣一郎は、出火の原因とともに長次の素性を調べると、過去にも子どもの命を救っていたことがわかる。
なぜ危険を顧みず行動できたのか? さらに付け火と判明し、剣一郎はある推測に苦悶する!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
137
もう・・出だしからまた、長谷川様登場でゲンナリの予感のシリーズ最新刊!火事の中に飛び込んで子どもを助け出した男・長次の話と、大坂東町奉行からの依頼で六輔なる男を捜し出す話が同時進行で進むのだが・・今回は死に場所を求める男の心情に諸手を挙げて同意する事が出来ない私。はぁモヤモヤする。そして、勘違い野郎の長谷川様を何とかして欲しい感じの第62弾だった。2023/05/04
やま
58
南町奉行所、風烈廻り与力・青柳剣一郎は、柳生新陰流の達人で、賊を退治した際に頬に受けた刀傷の痕から「青痣与力」と呼ばれ、市井の人々に畏れ敬われている。鋳掛屋の長次は、十五年前に駿府の府中の質屋に仲間三人と押し入り、主人夫婦と番頭を殺し、金を奪って火を放ち。半年後に追手が迫り空腹で倒れたところを巡礼の母娘に助けられた。その母娘が持っていた金に目がくらみ、母娘を殺して逃げ延びた。それから八年後に濁流に流されていた子を長次が飛び込んで助け。そして、誰もが無謀だと思うなか燃え盛る火の中に飛び込んで赤子を助けた。2023/06/14
goodchoice
2
青痣与力の人情溢れる読みが事件の解決につながる。本当にいつまでも続いて欲しいシリーズだ。2023/06/27
Abercrombie
2
無謀な人助けを繰り返す男の、真情とその末路。う~ん、納得できないなぁ。おかげで、大坂東町奉行所指し回しの事件は、完全にどうでもよくなる。左門ひさびさの登場。長谷川はいつも通りの道化役。2023/05/15
ぬる燗
0
「青痣与力」青柳剣一郎の事件解決を追う江戸時代刑事もの。自分の足と推理で真実を追い求める真っ直ぐな情熱で、そこには人としての温情もあり読んでいて心が温かくなる。 このシリーズ62巻から読んだが、十分楽しめた。始まりの第1巻も読まないとね。2023/07/20