内容説明
もう俺の手は汚れちまったんだ。
一生逃げるか、別人として生きていくか――
江戸を追われた男のある目的の前に立ちはだかる邪魔者とは?
青柳剣一郎は、剣術の師・真下治五郎から元足袋屋の主人・幸助の力になってほしいと内密に頼まれる。治五郎の眼には深い事情を抱えているように映ったのだ。
早速剣一郎が調べると、主人は数年前に店を畳んで行方知れずになっていた。さらに、人相も異なる。
そんな折、不審な遊び人風の男が幸助の元に現れ……。
治五郎が会っている幸助は何者か? 意外な因縁が浮上する!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
131
好きなシリーズの最新刊。最近は長谷川様の偉そうな言動にイラッとさせられてきたが、今回はじっくりと好い。読み応えのあった第61弾!小杉作家の味というか巧さが光る感じだった。ん~ん、満足。2023/01/30
とし
73
風烈廻り与力・青柳剣一郎「桜の下で」61巻。毎回イラッとさせられる長谷川様の影が無いのは良いですね。2023/04/17
やま
61
① 南町奉行所、風烈廻り与力・青柳剣一郎の活躍を描いた物語です。青柳剣一郎は、柳生新陰流の達人で、賊を退治した際に頬に受けた刀傷の痕から「青痣与力」と呼ばれ、市井の人々に畏れ敬われている。上総屋は、十五年まえに盗賊半五郎一味に入られて千両を盗まれて、主の嘉右衛門が殺される。嘉右衛門の弟で風林堂を営んでいる弟が、嘉右衛門の息子・正太郎が二十歳になったら返す約束で経営していたが。→2023/03/18
真理そら
56
誰が善人なのか悪人なのか…人は欲望には弱いものだけれどそれでも心の底の良心は美しいものだ、というようないかにも小杉作品らしさのあるお話しだった。卯平が幸助と共に吉野の桜を心静かに見ることができますように。長谷川様に振り回されないこういうタイプの物語の方がこのシリーズっぽくて好きかなあ。2023/01/20
Abercrombie
5
剣の師匠からの依頼は、ピースの一つ止まりであまり膨らまず、いつまでも冤罪に追われる男と、彼が巻き込まれた商家乗っ取り事件が物語の中心。いつも通りの人情裁きは良かったけど、ちとぎこちない話運びに感じたかな。岡っ引きの伝蔵はおとがめなしか。2023/02/15