
宮台真司さんエッセイ
昨年11月に出版した『14歳からの社会学――これからの社会を生きる君に――』は、発売直後から、予想をこえた反響がありました。著者として、とても嬉しく思っています。今回は、同書の各章の内容への理解を、より深めていただくために、選書をしました。
「14歳からの~」というタイトルには、2つの意図をこめています。「14歳」という、生への不安が最も高まる時期にいる子どもたちに読んで欲しい、という意図。そして大人には、すべてが分からなかった「あの頃」を思い出して読んでもらいたい、という意図です。
私たちの社会には9年間の「義務教育」があります。それがない時代、子どもは「通過儀礼」を経て大人になりました。子どもを非日常な空間でもみ、再び日常に戻ったときには新しい感性を身につけている――大人の「世間」が「みんな」に把握されていた時代です。
しかし、今、「通過儀礼」に置きかわった「義務教育」を終えても、そのまま大人になれるわけではありません。大人の「世間」が「みんな」にとって明らかでなくなったからです。昔を知る世代が少しずつ減っていくにつれ、新しい世代の人々が迷うようになりました。
残念ながら、失われた「通過儀礼」は回復できません。そのかわり、私は「子どもが大人になるとはこういうことだ」というヒントを示したいと思い、『14歳からの社会学』を書きました。「14歳」を過ぎた方々も、「あの頃」の気分を思い出して読んでみてください。
【宮台真司】
宮台真司(みやだい・しんじ)さんプロフィール
1959年仙台市生まれ。
東京大学大学院博士課程修了。
社会学博士。首都大学東京教授。
社会システム理論専攻。
著書に『終わりなき日常を生きろ』『まぼろしの郊外』『援交から天皇へ』『日本の難点』など。
宮台真司さん選書リスト
1〈自分〉と〈他人〉 をめぐるブック・セレクション
青い鳥
重松清 / 新潮社
2007/07出版
ISBN : 9784104075072
価格:¥1,728(本体¥1,600)
宮台真司さんコメント 「いじめ」について、深く考察した小説です。人間は浅ましい存在なので往々にして他人のいやがることをしてしまいますが、相手の「尊厳」に回復不能なダメージを与える「いじめ」は、やめられる。「いじめ」について考え、議論をするときに助けとなる本です。
忘れられた帝国
島田雅彦 / 毎日新聞出版
1995/10出版
ISBN : 9784620105376
価格:¥1,467(本体¥1,359)
宮台真司さんコメント 昭和30年代に生まれた人々が子ども時代に体験した、郊外の「団地化」の風景を記録した小説です。この作品に描かれている風景と、今日、日本各地で見られる現実の風景とを比べることで、私たちを取りまく環境がどのように変わったのかを、測ることができます。
我と汝・対話
マルティン・ブ-バ-、植田重雄 / 岩波書店
1979/01出版
ISBN : 9784003365519
価格:¥864(本体¥800)
宮台真司さんコメント これから結婚する男女に、父親が買い与える本として、日本でも、海外でも、有名です。自分の「尊厳」が、他者の存在と、どれだけ深く結びついているかを、哲学をベースに、わかりやすく説き明かしています。自分と他者との関わりを考える上での、必読書です。
宮台真司さんコメント 「いじめ」に関する社会学的研究の、現時点での「決定版」といえる本です。「いじめ」をするときどんな力を使うか、という考察を通じて、直接の加害者でなくとも「見て見ぬふり」を決めこむ人間が、実は「いじめ」の参加者であることを、明らかにしています。
透明な存在の不透明な悪意
宮台真司 / 春秋社
1997/11出版
ISBN : 9784393331750
価格:¥1,836(本体¥1,700)
宮台真司さんコメント 1997(平成9)年の「酒鬼薔薇聖斗」事件は、「尊厳」を他者の存在と無関連に樹立した14歳の少年が起こしました。事件を受けて私は、犯罪の残虐さそのものより、彼のような者を生み出した環境について、議論が必要だと考えました。それを世に問うた本です。
2〈社会〉と〈ルール〉 をめぐるブック・セレクション 自由論
ジョン・ステュア-ト・ミル、塩尻公明 / 岩波書店
1992/11出版
ISBN : 9784003411667
価格:¥907(本体¥840)
宮台真司さんコメント 「他害原理」(「他者を侵害しなければ、愚行をしてもOK」という考え)をベースに〈自由〉を定義づけた本です。本書にある「人間は必ず間違える存在である」という考え方は、西洋社会の宗教的な背骨です。そのことを理解する上で、とてもよい本であるといえます。
宮台真司さんコメント 「規則功利主義」(社会にどんなルールが必要か、どんなルールが多くの人を幸せにするか)について、理解が深められる本です。あるルールと別のルール、どちらが優れているのか、判定する際に用いられるのが「規則功利主義」。その体系が、よくわかります。
法の概念
ハ-バ-ト・ライオネル・アドルファス・ハ、矢崎光圀 / みすず書房
1988/06出版
ISBN : 9784622017431
価格:¥4,536(本体¥4,200)
宮台真司さんコメント 今日の法理論の基礎となっている、重要な業績です。「目には目を、歯には歯を」の同害報復を行なっていた部族的な社会が、いつ、いかなる理由で、権威ある裁定者(裁判官のルーツ)の裁定をあおぐようになったのか。法の働き方に着目して、説明していきます。
二十世紀の法思想
中山竜一 / 岩波書店
2000/03出版
ISBN : 9784000260268
価格:¥2,484(本体¥2,300)
宮台真司さんコメント 『法の概念』のハート以降、ジョセフ・ラズ、ロナルド・ドゥウォーキンといった思想家によって展開された、20世紀の法思想の流れを紹介する本です。法学になじみの少ない人にもわかりやすく書かれている本なので、私も大学の講義でテキストに使っています。
宮台真司さんコメント ベンサムの「規則功利主義」に立ちつつ、それが直面している問題点を指摘します。法制度の構造化が進むと、「どんなルールが多くの人を幸せにするか」を考える際の「人」の指す内容が変わり、「規則功利主義」も変わらざるを得ないだろう、と予言する本です。
人生の教科書「よのなかのル-ル」
藤原和博(著述家)、宮台真司 / 筑摩書房
2005/05出版
ISBN : 9784480420855
価格:¥1,026(本体¥950)
宮台真司さんコメント 杉並区和田中の元校長藤原和博さんが立ち上げた[よのなか]科の意図がよくわかる本で、私も巻頭と巻末に長い文章を書いています。自分が何かを「いい」「悪い」と思う感覚は、社会次第で変わる。「目からウロコ」の体験をして欲しいという願いが込められています。
宮台真司さんコメント 「権力が人々の自由を制約する」という通念をただす目的で書いた本です。権力はむしろ、自由を有効利用することで機能することを、数学的に論証しています。私たちの社会が、どういうタイプの権力の組み合わせで成り立っているかを把握してもらうための本です。
3〈こころ〉と〈からだ〉 をめぐるブック・セレクション 危険な関係 上
ピエ-ル・アンブロワ-ズ・フランソア・コ、伊吹武彦 / 岩波書店
2004/07出版
ISBN : 9784003252314
価格:¥777(本体¥720)
〈上〉
宮台真司さんコメント 書簡体で記された恋愛文学の傑作です。主人公の男女には性愛の関係がなく、相手に当てつけるために色々な人と関係を結び、悲劇的な結末を迎えます。望みがかなうことが恋愛の成就ではなく、悲劇それ自体こそが恋愛の成就である、というテーマを描いた作品です。
危険な関係 下
ピエ-ル・アンブロワ-ズ・フランソア・コ、伊吹武彦 / 岩波書店
2004/07出版
ISBN : 9784003252321
価格:¥777(本体¥720)
〈下〉
東京大学物語 1
江川達也 / 小学館
1993/07出版
ISBN : 9784091832511
価格:¥523(本体¥485)
〈1〉
宮台真司さんコメント 『危険な関係』同様、望みがかなうことが恋愛の成就なのか、というテーマを描きます。主人公・村上直樹は、何もかもコントロールしようとする男。彼の思いをヒロイン・水野遥がことごとく裏切ります。裏切られることで主人公が成長する過程を描いた作品です。
東京大学物語 2
江川達也 / 小学館
1993/09出版
ISBN : 9784091832528
価格:¥523(本体¥485)
〈2〉
東京大学物語 3
江川達也 / 小学館
1993/11出版
ISBN : 9784091832535
価格:¥523(本体¥485)
〈3〉
東京大学物語 4
江川達也 / 小学館
1994/02出版
ISBN : 9784091832542
価格:¥523(本体¥485)
〈4〉
東京大学物語 5
江川達也 / 小学館
1994/05出版
ISBN : 9784091832559
価格:¥523(本体¥485)
〈5〉
東京大学物語 6
江川達也 / 小学館
1994/08出版
ISBN : 9784091832566
価格:¥523(本体¥485)
〈6〉
東京大学物語 7
江川達也 / 小学館
1994/10出版
ISBN : 9784091832573
価格:¥523(本体¥485)
〈7〉
東京大学物語 8
江川達也 / 小学館
1995/01出版
ISBN : 9784091832580
価格:¥523(本体¥485)
〈8〉
東京大学物語 9
江川達也 / 小学館
1995/04出版
ISBN : 9784091832597
価格:¥523(本体¥485)
〈9〉
東京大学物語 10
江川達也 / 小学館
1995/07出版
ISBN : 9784091832603
価格:¥523(本体¥485)
〈10〉
東京大学物語 11
江川達也 / 小学館
1995/10出版
ISBN : 9784091833013
価格:¥523(本体¥485)
〈11〉
東京大学物語 12
江川達也 / 小学館
1996/01出版
ISBN : 9784091833020
価格:¥523(本体¥485)
〈12〉
東京大学物語 13
江川達也 / 小学館
1996/03出版
ISBN : 9784091833037
価格:¥523(本体¥485)
〈13〉
東京大学物語 14
江川達也 / 小学館
1996/06出版
ISBN : 9784091833044
価格:¥523(本体¥485)
〈14〉
東京大学物語 15
江川達也 / 小学館
1996/08出版
ISBN : 9784091833051
価格:¥523(本体¥485)
〈15〉
東京大学物語 16
江川達也 / 小学館
1996/12出版
ISBN : 9784091833068
価格:¥523(本体¥485)
〈16〉
東京大学物語 17
江川達也 / 小学館
1997/02出版
ISBN : 9784091833075
価格:¥523(本体¥485)
〈17〉
東京大学物語 18
江川達也 / 小学館
1997/04出版
ISBN : 9784091833082
価格:¥524(本体¥486)
〈18〉
東京大学物語 19
江川達也 / 小学館
1997/07出版
ISBN : 9784091833099
価格:¥524(本体¥486)
〈19〉
東京大学物語 20
江川達也 / 小学館
1997/10出版
ISBN : 9784091833105
価格:¥524(本体¥486)
〈20〉
東京大学物語 21
江川達也 / 小学館
1998/02出版
ISBN : 9784091850010
価格:¥524(本体¥486)
〈21〉
東京大学物語 22
江川達也 / 小学館
1998/05出版
ISBN : 9784091850027
価格:¥524(本体¥486)
〈22〉
東京大学物語 23
江川達也 / 小学館
1998/09出版
ISBN : 9784091850034
価格:¥524(本体¥486)
〈23〉
東京大学物語 24
江川達也 / 小学館
1998/12出版
ISBN : 9784091850041
価格:¥545(本体¥505)
〈24〉
東京大学物語 25
江川達也 / 小学館
1999/02出版
ISBN : 9784091850058
価格:¥545(本体¥505)
〈25〉
東京大学物語 26
江川達也 / 小学館
1999/05出版
ISBN : 9784091850065
価格:¥545(本体¥505)
〈26〉
東京大学物語 27
江川達也 / 小学館
1999/09出版
ISBN : 9784091850072
価格:¥545(本体¥505)
〈27〉
東京大学物語 28
江川達也 / 小学館
1999/11出版
ISBN : 9784091850089
価格:¥545(本体¥505)
〈28〉
東京大学物語 29
江川達也 / 小学館
2000/02出版
ISBN : 9784091850096
価格:¥545(本体¥505)
〈29〉
東京大学物語 30
江川達也 / 小学館
2000/04出版
ISBN : 9784091850102
価格:¥545(本体¥505)
〈30〉
東京大学物語 31
江川達也 / 小学館
2000/07出版
ISBN : 9784091861313
価格:¥545(本体¥505)
〈31〉
東京大学物語 32
江川達也 / 小学館
2000/09出版
ISBN : 9784091861320
価格:¥545(本体¥505)
〈32〉
東京大学物語 33
江川達也 / 小学館
2000/12出版
ISBN : 9784091861337
価格:¥545(本体¥505)
〈33〉
東京大学物語 34
江川達也 / 小学館
2001/02出版
ISBN : 9784091861344
価格:¥545(本体¥505)
〈34〉
海の天辺 1
くらもちふさこ / 集英社
1998/09出版
ISBN : 9784086172240
価格:¥761(本体¥705)
〈1〉
宮台真司さんコメント 14歳の女の子の視点で、初恋の相手である先生との関係を描きます。人間は経験とともに知恵を身につけていきますが、それが幸せにつながるかというと、違う。「経験がない頃」にしか得られない「輝き」というものがあるのです。そのことを、徹底して描きます。
海の天辺 2
くらもちふさこ / 集英社
1998/09出版
ISBN : 9784086172257
価格:¥761(本体¥705)
〈2〉
宮台真司さんコメント
相手に快楽を与えようとして悪戦苦闘するのではなく、それを断念して自分自身の快楽を追求することを、著者は推奨します。そのことが、結局は相手の快楽につながるという、「性の逆説」を説く本です。著者のAV監督としての実践経験を、記録したものです。
宮台真司さんコメント 「援助交際は、家庭が不幸な、不道徳な子がやるもの」という通念をただす目的で書いた本です。社会が変われば、行政や教育の現場で大人が「よかれ」と思ってすることが、かえって悪い事態をまねくという「逆説」を、少女たちの性を題材に、明らかにしました。
4〈理想〉と〈現実〉 をめぐるブック・セレクション 宮台真司さんコメント 日本では、現在、若年者の雇用について、「非正規社員の正社員化」「正社員をなくし雇用の流動性を上げる」という、2つの意見があります。著者はそれをふまえて、「非正規社員の正社員化」という「善意」の議論が意図しない結果に敏感であれ、と推奨します。
レギュラシオン 成長と危機の経済学
ロベ-ル・ボアイエ、清水耕一 / ミネルヴァ書房
1992/08出版
ISBN : 9784623022120
価格:¥4,194(本体¥3,884)
宮台真司さんコメント 「レギュラシオン」とは、フランス語で「調整」のこと。かつてマルクスが予測した資本主義の崩壊が実際に起こらないのは、資本主義に合理的な「調整」の働きがあるからで、その「調整」が国の政策、国民の感受性・慣習などによって全く異なることを示します。
宮台真司さんコメント 経済の国際化の視点から、『レギュラシオン』による「調整」の考え方に、一国主義的だとの決定的批判を浴びせます。どういう「調整」が合理的か、議論の射程を広げ、国際的な視点から語られなければならない。評価する際の物差しを変えるべきだ、と主張します。
消費社会の神話と構造
ジャン・ボ-ドリヤ-ル、今村仁司 / 紀伊國屋書店
1995/02出版
ISBN : 9784314007009
価格:¥2,097(本体¥1,942)
宮台真司さんコメント 日本が大阪万博(1970年、テーマは「人類の進歩と調和」)にわいていた時代に書かれた本です。ボードリヤールはその時点で、「記号的な消費」という概念を提唱しています。日本でもその直後「オシャレCM」が流行しましたが、この本の先見性は特筆に値します。
宮台真司さんコメント 「企業管理」という経営学的視点から、人事の合理性がどのように変わりつつあるのか、というテーマで編まれた論文集です。ヨアヒムヒルシュの『レギュラシオン』批判が、経営学の視点と密接に結びついていることが、この本を読むことで、理解できるでしょう。
宮台真司さんコメント アメリカ同時多発テロのあと、2006(平成18)年に書かれた本で、国際化が進んだ経済が、社会にどんな結果をもたらしているかを記しています。ボードリヤールのいう「記号的な消費」を重ねた結果、人々は幸せではなく不安になったという結論を導き出します。
5〈本物〉と〈ニセ物〉 をめぐるブック・セレクション 国家 上
プラトン、藤沢令夫 / 岩波書店
2009/09出版
ISBN : 9784003360170
価格:¥1,296(本体¥1,200)
〈上〉
宮台真司さんコメント 初期のプラトンは「感染」を重視していました。しかし後期のプラトンは、「国家(ポリス)」の幸いを考えた結果、「感染」に否定的になります。その過程が記された本です。今日も重要な「個人の幸せ」と「社会の存続」との関係について考えさせられる本です。
国家 下
プラトン、藤沢令夫 / 岩波書店
2008/12出版
ISBN : 9784003360187
価格:¥1,296(本体¥1,200)
〈下〉
プラトン序説
エリック・A.ハヴロック、村岡晋一 / 新書館
1997/12出版
ISBN : 9784403120015
価格:¥4,320(本体¥4,000)
宮台真司さんコメント 「感染」を重視した、初期プラトンの思想を全面的に評価し、それを否定した後期プラトンを批判する本です。プラトンの「転向」の理由を「文字の普及」に結びつけて論じ、批判しつつも「社会の存続の観点では仕方がなかったことだ」と示唆します。私も同感です。
正しい戦争と不正な戦争
マイケル・ウォ-ザ-、萩原能久 / 風行社
2008/10出版
ISBN : 9784938662448
価格:¥4,320(本体¥4,000)
宮台真司さんコメント 著者は、アメリカ同時多発テロを受けて、「断固、テロリストを殲滅すべし」という立場を取りました。自分がコミットする共同体の存続を願うがゆえに、肯定せざるを得ない戦争があるという、「逆説」的な論説。その意外さを、この本を読んで体験してください。
平田オリザの仕事 2
平田オリザ / 晩声社
1997/07出版
ISBN : 9784891882723
価格:¥2,160(本体¥2,000)
〈2〉
宮台真司さんコメント 演劇は身体を使ったメディアです。演劇論とは「身体論」であり「祝祭論」でした。著者はそれを時代錯誤だとします。私たちが生きる社会には「日常」と「祝祭」の区別はなく、異常な「日常」があるだけ、と。「静かな演劇」の作り手である著者らしい演劇論です。
野獣系でいこう!!
宮台真司 / 朝日新聞出版
2001/12出版
ISBN : 9784022613585
価格:¥820(本体¥760)
宮台真司さんコメント この本で私が主張したのは、「隔離よりも、免疫化」の重要性です。内面が弱いから異物を隔離したがり、その結果、免疫がなくなって、ますます隔離に向かう。この悪循環を断ち切ることが必要と説いています。様々な方との対話・インタビューをまとめた本です。
宮台真司さんコメント 私の最近著の1つです。〈世界〉(ありとあらゆるものの全体)に向かって開かれたあり方を推奨しています。名指されたものを探すのではなく、「......〈世界〉ってそうなのかもしれない」と、訪れる寓意を待つあり方です。それを、映画を素材に論じている本です。
6〈生〉と〈死〉 をめぐるブック・セレクション ジャック・マイヨ-ル、イルカと海へ還る
ピエ-ル・マイヨ-ル、パトリック・ムトン / 講談社
2003/12出版
ISBN : 9784062119580
価格:¥2,052(本体¥1,900)
宮台真司さんコメント フランスのダイバー、ジャック・マイヨールのお兄さんが書いた弟の伝記。ジャック・マイヨールの自殺に焦点を当てています。〈社会〉(コミュニケーション可能なものの全体)から〈世界〉に離脱したまま帰還しなかった弟を「未熟」と断じた、衝撃的な本です。
荒野へ
ジョン・クラカワ-、佐宗鈴夫 / 集英社
2007/03出版
ISBN : 9784087605242
価格:¥723(本体¥670)
宮台真司さんコメント 『ジャック・マイヨール――』と同じ主題をえがきます。主人公は恵まれた境遇で育った男。その彼が家を捨てて、アラスカの荒野でひとり死にます。〈社会〉から〈世界〉に離脱するだけでなく、〈世界〉から〈社会〉に還ることの重要性を感じさせられる本です。
新編銀河鉄道の夜
宮沢賢治 / 新潮社
2012/04出版
ISBN : 9784101092058
価格:¥464(本体¥430)
宮台真司さんコメント 青空文庫の「旧字旧仮名」版とあわせて読んでください。構成が違います。私は「旧字旧仮名」版の構成が妥当だと信じます(『〈世界〉はそもそも――』参照)。「本当の幸い」のために殺した相手が、自分よりも「本当の幸い」を追求していたかもしれない......。宗教的世直しを志向する賢治の断念と覚悟が描かれています。
〈信〉の構造 1
吉本隆明 / 春秋社
2004/11出版
ISBN : 9784393331347
価格:¥2,700(本体¥2,500)
〈1〉
〈信〉の構造 2
吉本隆明 / 春秋社
2004/11出版
ISBN : 9784393331354
価格:¥2,700(本体¥2,500)
〈2〉
最後の親鸞
吉本隆明 / 筑摩書房
2002/09出版
ISBN : 9784480087096
価格:¥1,080(本体¥1,000)
宮台真司さんコメント 吉本隆明氏の宗教論の特徴は、教義の伝え手の「実存」を再現する点にあります。そのことを通じて、彼は、教義学テクストを読み直そうとします。テクスト自体に注目する神学者が大勢を占める日本で、吉本氏と田川建三氏の業績は異色です。一読をおすすめします。
宮台真司さんコメント 孤独死をする人で一番多いのは、40代後半から60歳までの中高年男性です。会社をリストラされたり病気になったりして、お金をかせげなくなったとたん、家族に見捨てられてしまう。「愛によって永続する関係」を築くことの重要性を、私たちに教えてくれます。
宮台真司さんコメント 『この世からきれいに消えたい。 美しき少年の理由なき自殺』(藤井誠二氏との共著、朝日文庫)からこの本へと至る時期が、私の大きな転換期でした。かつて私が推奨した「意味から強度へ」の「強度」を、誤解なく伝える必要があると思って、急遽上梓した本です。
7〈自由〉への挑戦 をめぐるブック・セレクション 宮台真司さんコメント アメリカ同時多発テロのあとに書かれた本で、従来の普遍主義を、「ヨーロッパ的普遍主義」的と批判し、「普遍的普遍主義(個別的普遍主義)」への移行の必要性を説きます。ポイントは、著者の主張が、日本の明治時代の「亜細亜主義者」の主張と重なる点です。
個人化社会
ジグムント・バウマン、沢井敦 / 青弓社
2008/07出版
ISBN : 9784787232885
価格:¥5,400(本体¥5,000)
宮台真司さんコメント 私たちは、当然のように〈自由〉を求めます。しかし著者は、〈自由〉になることは従来負わなくてよかった責任を負うことになるのだから、むしろ〈不自由〉に近づくのだ、という見解を述べています。〈自由〉をめぐる「逆説」に敏感であれ、と推奨する本です。
〈volume.1〉
宮台真司さんコメント 『鉄腕アトム』の「変奏曲」として描かれた作品です。『鉄腕アトム』では、天馬博士が救った子どもが社会を救う正義の味方となり、『MONSTER』では、Dr.テンマの救った子どもが社会を滅ぼす絶対悪となる。「人間万事塞翁が馬」の故事を思い起こす作品です。
宮台真司さんコメント 一般の倫理社会の教科書には載っていない、亜細亜主義者を含めた戦前思想家たちがアンソロジー形式で紹介されます。私も大学の講義で使っています。ただし、本書の紹介にはいくつか大きな欠陥があるので、それに気づくことを日本思想史の学習目標にできます。
宮台真司さんコメント ヨーロッパの現代思想とは内容が異なる、アメリカの現代思想を概観できる本です。両者の違いは、アメリカの建国事情に由来するといえますが、そのことは、この本にほとんど書かれていません。その点については、自分で補いながら読むことを、おすすめします。
自由な新世紀・不自由なあなた
宮台真司 / メディアファクトリー
2000/04出版
ISBN : 4889919074
価格:¥1,836(本体¥1,700)
宮台真司さんコメント 1997(平成9)年から1999(平成11)年まで、雑誌『ダ・ヴィンチ』に連載した「宮台真司の世紀末相談」を中心に単行本化したものです。私たちが〈自由〉な新世紀を迎えつつあるよう見えて、実はますます〈不自由〉になりつつあるのではないかと問うています。
「じんぶんや」とは?
こんにちは。じんぶんやです。
2004年9月、紀伊國屋書店新宿本店に「じんぶんや」という棚が生まれました。
「じんぶんや」アイデンティティ1
★ 月 が わ り の 選 者
「じんぶんや」に並ぶ本を選ぶのは、編集者、学者、評論家など、その月のテーマに精通したプロの本読みたちです。「世に溢れかえる書物の山から厳選した本を、お客様にお薦めできるようなコーナーを作ろう」と考えて立ち上げました。数多の本を読み込んだ選者たちのおすすめ本は、掛け値なしに「じんぶんや」推薦印つき。
「じんぶんや」アイデンティティ2
★ 月 が わ り の テ ー マ
人文科学およびその周辺の主題をふらふらと巡っています。ここまでのテーマは、子どもが大きくなったら読ませたい本、身体論、詩、女性学...など。人文科学って日々の生活から縁遠いことではなくて、生きていくのに案外役に立ったりするのです。
ご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いします。
「じんぶんや」バックナンバー
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【じんぶんや第52講】 宮台真司選「14歳からの社会学」
■場所 紀伊國屋書店新宿本店 5Fカウンター前
■会期 2009年7月8日~8月8日
■お問合せ 紀伊國屋書店新宿本店 03-3354-0131