出版社内容情報
待望久しい名著の翻訳ついに刊行!「戦争は緊急事態だから何でもあり」という軍事的リアリズムに抗し、他方で絶対平和主義も採らず、ギリギリまで道徳を貫きつつリアルに戦争を見つめ、その重みと責任に耐えようとするウォルツァーの代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ecriture
9
「あらゆる戦争は否定されるべきである」というのは思考停止である。正しい戦争と正しくない戦争、戦争を正しく戦うことと不正に戦うことが問題にされなくてはならない。つまり、正しい戦争を正しく戦うことは可能である。そしてその際に基準となるのは平和ボケした法律家の文言ではなく、危機に瀕した当事者たちの道徳・価値判断である。サイードのような批判もあるが、9.11を経た今はウォルツァーの情報に対する認識の甘さが際立つ。ヴィリリオ、ボードリヤール、ドゥボール辺りが黙っていない。確固たる一つの現実があると思ってるんだもの。2011/01/14
Mealla0v0
6
戦争という例外状態を道徳的に基礎づけようとする政治哲学の書。一般にこの正戦just warの考えは9.11後の対テロ戦争を正当化したと言われるが、むしろそうした無法染みた戦争を抑制することが本書の意図だろう。それはそうとして、この長大な本のなかで気になったのは、戦争は人民の権利を守るために行われるのに、戦争こそが人民の権利を危機に曝す、という指摘。国民国家のリヴァイアサンの根本的矛盾だろう。それをまあ、道徳的に基礎づけてしまうのだが、これこそを、わたしは考えたい。2017/12/13
くり坊
2
本書の第4部「戦争のジレンマ」第16章「最高度緊急事態」のなかに「ヒロシマ」という項目があり、その次章、第17章は「核抑止」であり「限定核戦争」という項目もある。訳者あとがきにあるように「古来からある諺「恋愛と戦争では手段を選ばない」(本書45頁)、つまり恋愛ではどんな策略や嘘も許され、戦争ではいかなる暴力も開放されるとする考え方にウォルツァー(本書の著者)は異を唱える」とあるのが、それが著者をして、本書を通底している戦争理解の「あり方」なのだろう。著者による他の著作も読みたくなった、そんな1冊でした。2023/11/03
Ukyoaki
2
自分にとって読み易い本ではなく、読了まで時間を要した。勝てば官軍、勝者が敗者を裁くのが戦後処理の扱いだけど、戦争犯罪や核攻撃などに関する記述は興味深い内容であった。でも、スラっと内容が頭に入ってこず、結構疲れたというのが正直な感想・・・。2019/04/28
Hiroshi Higashino
1
斜め読み.ざっと読んだだけだと正・不正の線引がなんだかよくわからない.まあきれいに線引できるものでもないだろうけど、理論的・学術的にどうかっていうところは興味深い.2023/08/13
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