出版社内容情報
星の空を、ひっそりと見あげたことありますか。そして涙が出ませんでしたか。
貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく哀しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など、イーハトーヴォの絢爛にして切なく多彩な世界に、「北守将軍と三人兄弟の医者」「饑餓陣営」「ビジテリアン大祭」を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な醍醐味をあますところなく披露する。
内容説明
貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく悲しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など、イーハトーヴォの切なく多彩な世界に、「北守将軍と三人兄弟の医者」「饑餓陣営」「ビジテリアン大祭」を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な味わいをあますところなく披露する。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
640
学生時代以来、何度目かの再読。表題作以外にも「セロ弾きのゴーシュ」など計14篇を収録。「銀河鉄道の夜」こそは、宮沢賢治の最高傑作だ。詩集『春と修羅』も、銀河や天体、あるいは結晶体などの透明で硬質な詩的イメージに溢れているが、ここでは散文でそれを実現している。また、まぎれもない幻想文学なのだが、一般に幻想文学は変幻自在の柔らかさや自由さに特徴を持つが、ここではそれがきわめて硬質であることで独自の世界を構成している。天のカササギや十字架、ハレルヤの声、これほど神々しいイメージに彩られた鎮魂歌があっただろうか。2013/01/27
そる
362
賢治さんの文章は結構読みにくい。暴言や意地悪や理不尽な労働とか怖い要素もあり今の子供には現代解釈にした方がいいような童話が多い。それでも「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」はきっと賢治さんも力を入れたのだろう、このままの世界観を保った方がいいと思える。全体に澄んだ空気の夜のような綺麗な感覚。だから宮沢賢治が好きなんだ。「「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」」2019/12/08
ehirano1
360
「999」のような電車に乗車して著者の死生観に触れる旅を楽しみました。車掌やメーテルはいませんが、「理想」と「現実」とのギャップをファンタジックに味わいながら『本当のさいわい(幸い)とは何なのか』を考える旅でした。2023/11/24
ののこいちご
315
胸がギュッと締め付けられる。綺麗な話だとは思う。しかし苦しいですね。このやりきれなさから逃れたい気持ちになりました。2022/06/07
ビブリッサ
297
汽笛が聞こえる。あまりにも有名な本作は、無邪気にも、また別離を思いながらも読める不思議な奥行を持つ。ジョバンニとカムパネルラの二人の旅は、「さいわい」を深く探って進んでいく。蠍の火の話は、挺身し尽せなかったと悔やむ心が赦され、サザンクロスのその先の石炭袋には神をも包括する「母」がいるという。皆の本当の幸のために進もうと誓う少年たちの目はしんしんと痛む。半身を失った少年は激しく胸を打って叫び、声を限りに泣いたあと、地上に一人戻り自分の人生の目的に向かって駆けて行く。汽笛が聞こえる。それは別れと出発の合図だ。2017/07/17