プラトン序説

プラトン序説

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  • サイズ A5判/ページ数 389p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784403120015
  • NDC分類 131.3
  • Cコード C0010

内容説明

本書は、声から文字へのメディアの変化がプラトン哲学を生んだとする画期的著作である。いま進行している活字から電子メディアへの変化ははたしてどのような哲学を生むだろうか?本書は21世紀を考えるヒントに満ちている。

目次

第1部 イメージで考える人びと(プラトンの詩論;ミメーシス;保存されたコミュニケーションとしての詩 ほか)
第2部 プラトン思想の必然性(プシュケー、あるいは、認識する者の認識されるものからの分離;認識されるものの客観としての認知;臆見としての詩 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

34

22
プラトンを戦略的な視点(それ以前の口誦的伝統といかに対決したか)から位置づけなおすこころみ。ハヴロックによるとホメロスに代表される詩の口誦文化は、近代的な意味で美的なものであったというより、知の源泉、ノモスとエートスを保存する百科全書的な役割を果たすものでもあった。それに対抗するためには、別の記憶装置、つまりアルファベットによる正定立が必要条件となる。そこからしてのみ、イデアの思想は戦略的に可能になるというわけだ。デリダのグラマトロジーを補完すると同時に、プラトン解釈としては対立しているというおもしろさ。2017/03/03

Bartleby

16
プラトンの『国家』を読むと執拗なまでに詩と詩人が批判されているのが目につく。著者はその点に注目することで、『国家』を教育制度批判の書として読み直してみせる。当時、詩は伝統を伝えるためのメディアとしての面を持っており、人々は英雄や神々についての詩の朗誦を聴き、それを覚えることで公的・私的な場での正しい振る舞いを身に着けていた。プラトンはそうした教育のあり方に対抗し、イメージではなく論理によって思考すること、詩の登場人物に同化するのではなく、対象から距離を置いて分析できるようになるための教育を目指した。2015/04/15

ゆうきなかもと

7
文字による記録や読み書きスキルが定着する以前のギリシアと以降のギリシアとでは、人を取り巻く文化や人々の意識が大きく異なるということがわかる一冊。文字による記録を定着させるためにも、読み書きスキルを定着させて、知性主義を発展させるためにも、口誦文化の教育方法である『感染』をプラトンは否定せざるを得なかったこともわかった。そして、本来、宮台真司の初期ギリシアの思考みたいなものがどんなものかと知りたくて読んだのだが…それについては書かれてないこともわかった。2020/10/22

oz

5
初読。教育論としての『国家』読解。ホメロスらの口誦詩はギリシア社会ではアイデンティティ保全を至上命題とした支配のエンサイクロペディアを形成しており、詩は真理には決して到達できない。現代人が聞くとズレを感じるプラトンの主張だが、著者の妙はこれをマクルーハンの予期した文章からの離反と映像への親和、といった現代メディア論へと解きほぐしてゆく点にある。モザイク的に思想が入り混じるテクストをこうも一貫した視点で斬られると、もうそうとしか読めなくなってしまう。2010/02/24

iwasabi47

4
確認の為に再読。 ……あの特殊で比類なきギリシア的知性は、保存されるコミュニケーションの口誦的技術のゆえに、口述の才能に恵まれている者に権力が、従って名声が与えられるような共同体から本来の養分を得ていたのだ、という推測がそれである。この口誦的技術によって、人間のあいだの風土病といってよい権力闘争が、知性をめぐる競合と同一視できるようになった。ホメロス時代のギリシアの完全な無文字状態は欠点であるどころか、ギリシア的天才が育まれ、その成熟に達するために必要な生活環境だったのである。 p.1542020/08/11

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