内容説明
生き方のルールが変わった。個人の「能力」が評価軸の中心となった。だがそれは激しい競争へと私たちを駆り立て、マッチョであることを要求する。こうした新自由主義のモードが「サブカル社会ニッポン」を覆い、さまざまな「ねじれ」を生んでいる。ネット先進国たる韓国、米国の事例をも取り上げ、新自由主義がいかなるルーツを持っているのか、これに対抗しうる拠点はないのか、サブカルの可能性を見据えつつ、深く鋭く迫る。
目次
第1章 既得権批判―流動化と安定の狭間で(サブカル・ニッポンの不安な世代;約束の土地、終身雇用;自己啓発する宿命論者)
第2章 インターネットと反権威主義(改革の末路;理想としての「情報社会」;ハッカーとヒッピーの六八年)
第3章 サブカル・ニッポンの新自由主義(新自由主義の本質とは何か;競合する「人間らしさ」へ向けて;「見られること」から「見ること」へ)
著者等紹介
鈴木謙介[スズキケンスケ]
1976年生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。現在、国際大学グローバルコミュニケーションセンター研究員。理論社会学を専攻。社会学や政治哲学の見地から、インターネットや若者文化を鋭く分析する。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」ではメイン・パーソナリティを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
32
「昔はこんなことが許されたのか!」と思わせるような不親切な書きぶりです。抽象的な表現による導入と論点が浮遊し、次々と当時の時評を乗り移っていく。ある程度の読みにくさは学問的な強度を裏付けていることを匂わせますが、不必要に様々な議論を借りてくるのは権威主義的で著者の自信の無さの裏返しであり、何よりサブカルっぽくありません。どの時代にも共通していえますが、本当に分かっているひとは、時代を超えて分かりやすく読者に届く言葉を持っているものです。2020/08/25
サイバーパンツ
16
始めはロスジェネの整理と批判で、必要とはいえ少々退屈だが、第3章からは面白くなってくる。現代人の潜在意識に眠る、労働において個人主義的に活躍したいと願う価値判断のモード「新自由主義」の問題を、思想や社会学を用いて整理した上で、そんな「新自由主義」に凝り固まった私たちの頭をも整理していく。そして最後は、そんな「新自由主義」の生み出す不安感を癒すためのコミュニケートの場として、サブカルに希望を見いだし、そこに痛さを感じながらも、その痛さも含めて、肯定していくしかないという、後ろ向きな希望論で幕を閉じる。2016/09/06
林 一歩
14
沢山論じたいことがあるのだろうが、語彙も貧困で致命的に文章力もないため、論点が何も見えず全て破綻している。駄目な書き物のexampleとして読んでみるのはアリか。2016/02/27
阿部義彦
5
なんか、予想してた内容と違った。ほとんどが総論で抽象的で退屈でした。2015/10/02
白義
5
副題であっ、とかそうだ、とか思った人は必読。労働と自己実現が結び付いた価値判断のモードとして定義されたのが本書の言う新自由主義。そういうものがなぜ生まれ、流行ったかを思想、社会史の検討から問い直していき、ニッポンの未来をどうするかを考えていく。相変わらず時代の空気、イメージの前提になる部分をクールに積み上げていく手腕が上手い。労働とインターネットに代表される情報思想から描かれた新自由主義の姿は、抽象的だが具体例は身近にいくらでも浮かぶ。最後はサブカルによる承認の繋がりに未来を託す希望の啓蒙モード2012/02/09