内容説明
1996年、その年の流行語ともなった「援助交際」がピークをむかえた。何が女子高生たちを“援交”に駆り立てたのか。街を歩き、インタビューを重ね、問題のありかを探索し、その分析をまとめた衝撃作を10年を経て文庫化。新たに中森明夫氏の解説、圓田浩二氏、元援交少女との対談・座談会を収録。
目次
第1部 制服少女がパンツを売る理由(パンツを売ってどこが悪いの?;団塊の親たちの無残な失敗;鏡としての「パンツ売り」;少女は郊外で浮遊する;「女子高生」というブランド)
第2部 コミュニケーションの進化史(新人類とオタクとは何だったのか;無神論者たちの宗教ブーム;社会は「島宇宙化」する)
著者等紹介
宮台真司[ミヤダイシンジ]
1959年仙台市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。首都大学東京准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
27
強烈な切迫感がある、少女へのインタビューにも生硬な社会システム論にも。◇『「だれかれが悪い」の類の物言いは、カタルシスには役立っても現実にたいする処方箋としてはまったく無効』、10年後の『複雑な社会では誰も第三者たりえない…システムには環境があっても外部がない』、リスクを負い矢面に立つ言葉たち。正直印象が変わった。食わず嫌いだったな。◇「多元的な自己」論の文脈から「島宇宙」を読もうと手に取ったが、倫理、父親、宗教、コミュニケーションとどのネタも面白い。20年の時を経てどう考えるのか突きつけられてる感じだ。2016/09/27
サイバーパンツ
14
終わりなき日常を乗り越えうる存在であると希望を抱き、ブルセラ女子高生を対象にフィールドワークを行うも、後に、彼女たちに共感できなくなったとして、フィールドワーク自体をやめる宮台真司。そして、そんな宮台の空虚な瞳から、彼の内に巣喰う「空白」を見、それこそが、彼を突き動かすエネルギー源だと気づく中森明夫。そんな彼の解説からの、宮台真司のあとがき。この流れから感じる、なんともいえないセンチメンタルさ。これはぜひ読んで欲しい。2016/08/11
madofrapunzel
3
★★★★☆ 宮台さんのデビュー作。新人類とオタク初期論のところで、おそらく記述対象が変わっていく。文庫版は、いろいろオマケがついているのでまた読み返したい!2014/04/07
すもももももも
2
猛烈に啓蒙された気がする。論理的に書かれるコミュニケーションの歴史は切れ味がすごい。中森明夫の解説から宮台真司の文庫版あとがきへのセンチメンタルな流れもいい。と言うか、むしろこの中森明夫の解説こそ必読かもしれない。2015/06/08
とみた
2
はじめは島宇宙論が読みたくて手に取った。援助交際をみるために読むのではなく、フィールドワークを行うには何に気を付けるべきか論として読んだ方が面白い。援助交際第一世代の願望と期待の落差からくる夢語りはなくなったらしいけれど、それでも個々人のディープな語りは未だに別の形式を代替として語られるはずだと思った。2011/03/01