内容説明
『科学』は、1931年に石原純、寺田寅彦らによって創刊され総合科学雑誌です。高度な研究成果を専門の枠を超えて紹介するとともに、2001年4月のリニューアル以来、社会と科学の関係を見つめ直すことに焦点をあて、さまざまな立場から問題を掘り下げてお伝えしています。第一線の研究者が自ら執筆し、研究成果を直接社会に還元していることも、本誌の大きな特徴です。
東日本大震災に続き、新型コロナウイルス感染症に見舞われるなかで、科学的知見と合理性にもとづいた議論が切実に求められています。科学と社会をつなぐことが本誌の願いです。
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目次
【特集】富士山噴火に備える
活火山である富士山は300年以上噴火しておらず、いつ大噴火が起きても不思議ではない。最近の地質調査が明らかにした富士山の噴火史や、地下構造を探る試み、ハザードマップの改定、降灰シミュレーションの成果、防災上の課題などを報告する。
■目次
[イントロダクション]
富士山噴火に備える……藤井敏嗣
[噴火史]
富士火山の噴火史……山元孝広
宝永山は降り積もってできた火砕丘である……馬場 章
噴出物から読み解く富士山のマグマ供給系……安田 敦
[現状]
富士山のモニタリング――地下では何が起こっているか?……藤田英輔
[地下構造]
電磁気的観測で地下構造を探る――マグマ性ガスの上昇と電気比抵抗構造……相澤広記
富士山の地下構造を地震波から探る……中道治久
[地下構造を探る新手法]
桜島のリアルタイム透視……田中宏幸
世界初の多方向3次元透視が明らかにした大室山の内部構造……小山真人・宮本成悟・長原翔伍・鈴木雄介
[防災]
富士山ハザードマップの改定……吉本充宏
宝永噴火の降灰シミュレーション……萬年一剛
都市が火山灰で覆われたらどうなるか……久保智弘・石峯康浩
火山灰で覆われた道路を車両は走れるのか……西澤達治
富士山噴火の降灰が首都圏のインフラに及ぼす影響……伊藤哲朗
富士山噴火と防災情報……地引泰人
[巻頭エッセイ]
火山専門家の育成・確保が急務……藤井敏嗣
病理標本の保管に関する提案――自然史標本との比較を通して……伊藤真理子
[連載]
広辞苑を3倍楽しむ116 分岐……三浦 徹
これは「復興」ですか?64 「知らない間に」消されるふるさと……豊田直巳
数学者の思案2 フィールズ賞と国際数学者会議……河東泰之
3.11以後の科学リテラシー114……牧野淳一郎
[科学通信]
学生の取ったデータは誰のものか……小林信一
次号予告