内容説明
『科学』は、1931年に石原純、寺田寅彦らによって創刊され総合科学雑誌です。高度な研究成果を専門の枠を超えて紹介するとともに、2001年4月のリニューアル以来、社会と科学の関係を見つめ直すことに焦点をあて、さまざまな立場から問題を掘り下げてお伝えしています。第一線の研究者が自ら執筆し、研究成果を直接社会に還元していることも、本誌の大きな特徴です。
東日本大震災に続き、新型コロナウイルス感染症に見舞われるなかで、科学的知見と合理性にもとづいた議論が切実に求められています。科学と社会をつなぐことが本誌の願いです。
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目次
【特集】量子力学100年の展開
[宇宙]
量子と重力の統一──基本法則探究のラスボス……大栗博司
宇宙は究極の量子コンピューター?……高柳匡
[次の時代へ]
光格子時計──量子のエンジニアリングでできた相対論的センサを使う時代へ……香取秀俊
量子情報科学ビフォー・アフター……中村泰信
電子波のトポロジーからデバイスへ……村上修一
[理論の扉]
フォン・ノイマンからトポロジカル物性へ……河東泰之
熱・統計力学に導かれ量子論に至り,量子論をもとに熱・統計力学を理解する……田崎晴明
[変わる世界観]
ド・ブロイからエンタングルメント実験までの100年──奇跡の世紀と今後の量子力学……井元信之
量子力学的世界観──その不思議な性質と検証の歩み……上田正仁
[巻頭エッセイ]
未来大人宣言……高津飛鳥
がんとは何か──分子からのアプローチ5……野田亮
[新連載]
言語研究者,ユーラシアを彷徨う1 アルタイ諸言語の研究──フィールドワークの幕開け……風間伸次郎
[連載]
人間の言語能力とは何か──生成文法からの問い【番外編2】
大規模言語モデルは人間の言語能力の解明に役立つのか?(後編)……瀧川一学・折田奈甫
3.11以後の科学リテラシー139……牧野淳一郎
日常身辺の確率的諸問題6 ツキは存在するのか?……原啓介
[科学通信]
乳児は錯視に騙されない……鶴見周摩
2024 Japan Prize受賞者功績紹介(資源,エネルギー,環境,社会基盤分野):2人の博士が拓いた現代気象学の基盤……神山翼
2024 Japan Prize受賞者功績紹介(医学・薬学分野):核内受容体ファミリーの発見と創薬ビッグバン……吉原栄治
次号予告
表紙デザイン=佐藤篤司