内容説明
『科学』は、1931年に石原純、寺田寅彦らによって創刊され総合科学雑誌です。高度な研究成果を専門の枠を超えて紹介するとともに、2001年4月のリニューアル以来、社会と科学の関係を見つめ直すことに焦点をあて、さまざまな立場から問題を掘り下げてお伝えしています。第一線の研究者が自ら執筆し、研究成果を直接社会に還元していることも、本誌の大きな特徴です。
東日本大震災に続き、新型コロナウイルス感染症に見舞われるなかで、科学的知見と合理性にもとづいた議論が切実に求められています。科学と社会をつなぐことが本誌の願いです。
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目次
【特集】五感と身体のウェルビーイング
音がつなぐ、こころとからだ――ASMRと音嫌悪症をめぐって……近藤洋史
内受容感覚がひらくウェルビーイング……寺澤悠理
ぶつぶつ模様がもたらす心のざわめき……佐々木恭志郎
匂いがつくる心と社会……岡本剛
手と口で感じる触食感と食体験……小梶直・仲谷正史
からだの境界で自他がゆらぐとき――触ると触られるの交差点……小鷹研理
[巻頭エッセイ]
不確実な時代の適応戦略……乾敏郎
窒素固定ができる新たな細胞小器官の発見――小さな藻を育てて初めてわかった進化の姿……萩野恭子
夜間人工光による昆虫の攪乱と耐性の進化……高本龍真・高橋佑磨
一電子結合への挑戦――炭素がなす新たな共有結合……島尻拓哉・石垣侑祐
[新連載]
17~18世紀英国の数学愛好家たち1 17~18世紀はどのような時代だったのか……三浦伸夫
[連載]
野球の認知脳科学2 打たれにくい球の本質……柏野牧夫
夜の教室からリュウグウへ――定時制高校科学部の挑戦4 宙をわたったサンプラー……橘省吾
言語研究者,ユーラシアを彷徨う11 ユーラシア大陸の中心へ――トゥバ語・ハカス語……風間伸次郎
3.11以後の科学リテラシー149……牧野淳一郎
[科学通信]
微小鉱物によるヒ素の集積――放射光X線分析で土壌汚染に挑む……橋本洋平
〈本の虫だより〉スティーブ・ブルサッテ『哺乳類の興隆史』……白石直人
次号予告/訂正
表紙デザイン=佐藤篤司