内容説明
ペットの洋服作りの仕事が軌道に乗ってきた芭子と、パン職人の道を邁進する綾香。暗い場所で出会い、暗い過去を抱えながら、支え合って生きてきた。小さな喜びを大切にし、地に足のついた日々を過ごしていた二人だったが、あの大きな出来事がそれぞれの人生を静かに変えていく。彼女たちはどんな幸せをつかまえるのだろうか――。心を優しく包み込む人気シリーズ、感動の完結編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
397
やっと読めた。大好きなシリーズの完結編。タイトルの重みが、読み終わってしんしんと沁みる。乃南さんがあの歴史的な震災の現場に居合わせたというのは、作家の執念が引き寄せたものなのだろう。そしてそれを読者に伝えることの出来る才能。あの震災をモチーフにした作品はいくつか読んだが、大袈裟すぎず事実をキチンと伝えたことで、この作品を上回るものをわたしは知らない。ふたりのこれからの人生に幸ありますように。綾香には、息子くんに会わせてあげたかったな(ドラマでは再会できて、わたしそこで号泣した)。2018/06/17
yoshida
164
芭子と綾香。罪を犯してしまった二人が慎ましく生活するシリーズも完結。二人とも過去と向き合い、大切な人に真実を伝える事により人生が前進した。綾香の子供の消息を確認しに芭子は仙台へ向かう。芭子を東日本大震災が襲う。行きの新幹線で知り合った南とタクシーで東京に戻った芭子。芭子と南の縮まる距離。芭子は過去を南に話す。南は受け止める。綾香は地元の被災地へボランティアに行く。勤め先でのいわれなき差別と理不尽にあい退職。気仙沼のパン店に再就職する。綾香も過去を打ち明け、受け入れられる。懸命に生き前途を開く名作と感じた。2015/05/16
美登利
136
止まらなかった。とても途中で止めることが出来ない。2作目までのハコと綾さんの日常はそのまま、平穏に続いてくれて読者はその変わり映えしないところも魅力と思い読んでいるのです。2人の姉妹のような固い絆。まさか、東日本大震災を体験したことから物語りが急展開を迎えるとは思わなかったです。乃南さんが実際に仙台で体験されたその時を全てハコちゃんが追体験し、命からがら東京に戻ってくる事ができた1番長い夜、誰とも心を開かないハコにとって初めて無防備になれた南くんが素敵な人で良かった、ホッとしたよ、おばちゃんは。(笑)2017/11/12
モルク
109
シリーズの前作を読んでから3年。ようやく読めた。前科がある芭子と綾香がひっそりした日々を送っているなか、芭子は綾香が残してきた子どものことを調べに仙台へ。折しもその日東日本大震災が起こる。そしてそれとともにふたりに転機も…。大震災当日に乃南さんが仙台にいらしたということもあり、実際の現地の様子がリアルである。芭子と綾香も別々にではあるが、地に足をつけて前を向いて歩いている様子。苦しみを乗り越えての前向きな姿に涙…2019/12/10
扉のこちら側
104
2016年679冊め。タイトルは2011年3月11日の夜を指している。シリーズ完結のこの巻で震災を描くために綾香が仙台出身だという設定が当初からなされていたのかと思いきや、たまたま仙台出身の設定にして著者が取材に訪れた日に震災に遭遇したから書いたということらしい。どうりで震災の描写やその後のPTSD症状の描き方がうまいわけである。人を殺めてしまった綾香が、刑務所ではなく被災地に入ることによってその罪を自覚し悔いるという結末に納得。芭子と彼の今後も応援したいと思える。2016/09/03
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