出版社内容情報
シェイクスピア劇、個人全訳の偉業!
普遍的な魅力を備えた戯曲を、生き生きとした日本語で。
詳細な注、解説、日本での上演年表をつける。
カバー装画・デザイン=安野光雅
千の心を持つシェイクスピアを千の声に訳し分ける。
その声たちが舞台で親しみ合い、争い、口説き、嘆く。
松岡和子の言葉の偉業である。
――池澤夏樹
心の支えとなったのは、「The readiness is all.」(覚悟がすべてだ)という『ハムレット』のセリフだった――。
刊行から25年、坪内逍遥、小田島雄志に続く3人目のシェイクスピア劇全37編個人全訳。
(蜷川幸雄演出『彩の国シェイクスピア・シリーズ』翻訳も担当)
33巻内容
・シェイクスピア全集1(文庫し10-1)ハムレット
デンマークの王子ハムレットは、父王の亡霊から、叔父と母の計略により殺されたことを知らされ、固い復讐を誓った。悩み苦しみながらも、狂気を装い、ついに復讐を遂げるが自らも毒刃に倒れる。美しい恋人オフィーリアは、彼の変貌に狂死する。数々の名セリフを残したシェイクスピア悲劇の最高傑作の新訳。脚注・解説・日本での上演年表付き。
・シェイクスピア全集2(文庫し10-2)ロミオとジュリエット
モンタギュー家の一人息子ロミオは、キャピュレット家の舞踏会に忍びこみ、その仇の家の一人娘ジュリエットと一目で激しい恋に落ちてしまった…。宿命的な出会いと、短かく悲しい破局をむかえる話はあまりにも有名であり、様々な悲恋物語のモチーフとなっている。その代表的傑作をさわやかな新訳で。
・シェイクスピア全集3(文庫し10-3)マクベス
スコットランドの武将マクベスは、荒野で出会った三人の魔女の奇怪な予言と、激しい夫人につき動かされ、かねてからの野心を実行に移していく。王ダンカンを自分の城で暗殺し、王位を奪ったが、その地位を失うことへの不安から次々と罪を重ねていく…。四大悲劇の一つを新訳で。
・シェイクスピア全集4(文庫し10-4)夏の夜の夢/間違いの喜劇〉
妖精の王とその后のけんかに巻き込まれて、妖精パックがほれ薬を誤用したために、思いがけない食い違いの生じた恋人たち―妖精と人間が展開する幻想喜劇『夏の夜の夢』。ほかに、2組の双子の兄弟が取り違えられることから生じる混乱のおもしろさの中に、ロマンスや、離別した一族の再開という要素を加えて展開する『間違いの喜劇』を収める。
・シェイクスピア全集5(文庫し10-5)リア王
老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固める。二人の姉は巧みな言葉で父を喜ばせるが、末娘コーディリアの率直な言葉にリアは激怒し、彼女を勘当し二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王の悲劇はここから始まった。シェイクスピア四大悲劇の最高峰。
・シェイクスピア全集6(文庫し10-6)十二夜
難破船から生き残ったヴァイオラは身を守るため男装して公爵に仕える。公爵の恋の使いで伯爵令嬢を訪れれば、何と彼女は男装のヴァイオラに一目惚れ。ヴァイオラは公爵が好きなのに…。この全員片思い状態、どうなる?十二夜。それはどんな馬鹿騒ぎも許されるお祭り騒ぎの日。こんがらがった恋の糸は、お手本のような、そしてどこか苦いハッピーエンドへ。
・シェイクスピア全集7(文庫し10-7)リチャ-ド三世
「口先で奇麗事を言う今の世の中、どうせ二枚目は無理だとなれば、思い切って悪党になりこの世のあだな楽しみの一切を憎んでやる」。世界を憎悪するリチャードは実の兄を陥れ、殺した敵の妻を口説き、幼な子を惨殺し、利用しつくした臣下はごみのように捨て―。奸計をつくして登りつめた王座に、破滅はあっけなく訪れる。爽快なまでの「悪」を描いた傑作。
・シェイクスピア全集8(文庫し10-8)テンペスト
弟の姦計により、地位を奪われ、娘ミランダとともに孤島に流されたミラノ大公プロスペロー。歳月を経て秘術を身に付けた彼は、ある日魔法の力で嵐を起こす。彼を陥れた弟とナポリ王、王子を乗せた船は難破し、孤島へ。そこでミランダとナポリ王子は恋に落ち、プロスペローは妖精を操って公国を取り戻す。詩的音楽性と想象力に満ちた作品を、評価高まる新訳で。
・シェイクスピア全集9(文庫し10-9)ウィンザ-の陽気な女房たち
シェイクスピア作品の中で唯一、同時代のエリザベス朝のイングランドを扱った市民劇。無類の酒好き、女好き、太っちょの悪党フォルスタッフ。素寒貧になった怪騎士が思いついたのは、金持ちの人妻に言い寄って、金も恋も思いのままにという企み。ところが陽気な女房たちの仕掛けに逆にはまってしまって大騒ぎ。ウィンザーの多彩な面々に懲らしめられるドタバタ喜劇。
・シェイクスピア全集10(文庫し10-10)ヴェニスの商人
もし借金が返せなければ、その体から1ポンドの肉を切りとらせろ―。ユダヤ人の金貸しシャイロックが要求した証文が現実となった。ヴェニスの法廷が下した驚くべき判決とは?そして裁判官の正体は?商業都市ヴェニスとロマンティックな愛の都市ベルモントを舞台に、お金とセックスの陰喩をちりばめて繰り広げられる喜劇。
・シェイクスピア全集11(文庫し10-11)ペリクリ-ズ
求婚しようとした王女とその父の近親相姦を見抜いてしまった時から、ペリクリーズの波瀾万丈の旅が始まった―。詩人ガワーの語りという仕掛けのなかで、次々と起こる不思議な出来事。苛酷な運命を乗りこえ、長い歳月をへて喜びに包まれる、ペリクリーズと家族の物語。イギリスで人気の高い、シェイクスピア最初のロマンス劇を新訳で。
・シェイクスピア全集12(文庫し10-12)タイタス・アンドロニカス
ローマ将軍タイタス・アンドロニカスは、捕虜であるゴート人の女王タモーラの長男王子を殺して、戦死したわが子たちの霊廟への生贄とする。これを怨んだ残る王子二人は、一転ローマ皇帝妃となったタモーラの狡猾なムーア人情夫、エアロンと共謀。タイタスの娘ラヴィニアを襲って凌辱し、なんとその舌と両手を切断してしまう。怒り狂うタイタス…―血で血を洗う復讐の凄惨な応酬。その結末は!?シェイクスピア初期の衝撃作。
・シェイクスピア全集13(文庫し10-13)オセロ-
元老院議員ブラバンショーの娘デズデモーナと結婚し、幸福の絶頂にあるムーア人将軍オセロー。だが、部下イアゴーの策略により、その幸せは無残な結末を迎える。ハンカチ紛失事件でデズデモーナと副官キャシオーが不義の関係にあると確信したオセローは嫉妬に狂った末に―。シェイクスピア四大悲劇の傑作を待望の新訳で。
・シェイクスピア全集14(文庫し10-4)コリオレイナス
ローマの隣国ヴォルサイとの戦いで都コリオライを陥落させた将軍ケイアス・マーシアスは、コリオレイナスの名を与えられるが、市民の反感を買ってローマから追放される。行方知れずになった誇り高き英雄は、宿敵オーフィディアスと手を結び、祖国ローマを攻め落とそうとする。この企てを知った母ヴォラムニアと妻ヴァージリアは嘆き悲しみ―。シェイクスピア最後の悲劇。
・シェイクスピア全集15(文庫し10-15)お気に召すまま
ド・ボイス家の末弟オーランドーは、長兄オリヴァーから逃がれ、アーデンの森に入る。オーランドーに一目惚れした前公爵の娘ロザリンドも、従姉妹のシーリアとともにアーデンの森へ向かう。男装し、羊飼いとして暮らすロザリンドを本人とは気づかず、オーランドーは恋の告白の練習をするが―。アーデンの森を舞台に数組の男女が繰り広げる恋愛喜劇。
・シェイクスピア全集16(文庫し10-16)恋の骨折り損
ナヴァール王国(現在のスペイン東北部)の若き王ファーディナンドは、宮廷を学問芸術の華たるアカデミーにしようと決意し、3人の青年貴族とともに女性との交際を絶ち学問に励む誓約を立てる。ところがその直後、フランス王女が3人の美しい侍女を引き連れて外交使節として到着する。4人の若者は4人の美女にそれぞれ恋心を抱くのだが…。小気味よい恋愛劇。
・シェイクスピア全集17(文庫し10-17)から騒ぎ
舞台はスペイン領シチリア島メッシーナ。凱旋するアラゴン領主ドン・ペドロ軍の2人の青年貴族、フィレンツェのクローディオとパドヴァのベネディックは皆の注目の的。クローディオは知事レオナートの娘ヒアローに思いを寄せ、独身主義のベネディックは男嫌いの知事の姪ビアトリスと丁々発止の舌戦を交える。2組の男女が織り成す小気味よい恋愛劇。
・シェイクスピア全集18(文庫し10-18)冬物語
シチリア王レオンティーズは妻のハーマイオニと親友のボヘミア王ポリクシニーズの不義を疑い嫉妬に狂う。しかし侍女ポーライナから王妃の死の知らせが届き、後悔と悲嘆にくれる。時は移り、十六年後一同は再会、驚くべき真実が明かされる。人間の再生と和解をテーマにしたシェイクスピア晩年の代表的ロマンス劇。
・シェイクスピア全集19(文庫し10-19)ヘンリ-六世
百年戦争とそれに続く薔薇戦争により疲弊したイングランドで、歴史に翻弄される王ヘンリー六世と王を取り巻く人々を描く長編史劇三部作。敵国フランスを救う魔女ジャンヌ・ダルク、謀略に次ぐ謀略、幾度とない敵味方の寝返り、王妃の不貞―王位をめぐる戦いで、策略に満ちた人々は悪事かぎりをつくし、王侯貴族から庶民までが血で血を洗う骨肉の争いを繰り広げる。
・シェイクスピア全集20(文庫し10-20)じゃじゃ馬馴らし
ヴェローナの熱血紳士ペトルーチオは、パドヴァの大金持ちのじゃじゃ馬娘、舌鋒鋭いキャタリーナをあの手この手で口説き落とし、結婚にこぎつける。そしてじゃじゃ馬の「調教」に乗り出すのだが…。キャタリーナの妹ビアンカとその求婚者たちを交えながらくんずほぐれつの舌戦を繰り広げる軽快な喜劇。
・シェイクスピア全集21(文庫し10-21)アントニ-とクレオパトラ
ローマの武将アントニーはエジプト女王クレオパトラとの恋に溺れ、ローマと敵対。帝国の命運をかけた恋は劇的な結末を迎える。
・シェイクスピア全集22(文庫し10-22)シンベリン
ブリテン王シンベリンの娘イノジェンは、イタリア人ヤーキモーの罠にはまり不貞を疑われる。悲劇の後、幸福な結末に至るロマンス劇。
・シェイクスピア全集23(文庫し10-23)トロイラスとクレシダ
トロイラスの恋人クレシダは、ギリシャ軍の捕虜となる。敵と対峙したトロイラスが見た光景は――。トロイ戦争を題材にした恋愛悲劇。
・シェイクスピア全集24(文庫し10-24)ヘンリ-四世
謀反と叛乱に翻弄される王ヘンリー四世の治世下で、王子ハルとほら吹き男フォルスタッフとの軽快な掛け合いが人気の史劇。
・シェイクスピア全集25(文庫し10-25)ジュリアス・シ-ザ-
ローマへ凱旋し、民衆から熱狂的に迎え入れられたジュリアス・シーザーは、腹心ブルータス、キャシアスらに暗殺される。シーザーの寵臣マーク・アントニーは、市民の前でシーザーへの弔辞を述べたいと請い、ブルータスは周囲の反対を押し切り受け入れる。それがブルータスにとって命取りになるとも知らずに―。「ブルータス、お前もか」の台詞で知られるローマ史劇。
・シェイクスピア全集26(文庫し10-26)リチャ-ド二世
従兄弟ボリングブルック(のちのヘンリー四世)の復讐心から、屈辱のうちに暗殺された脆弱な国王リチャード二世の悲痛な運命を辿る。解説 前沢浩子
・シェイクスピア全集27(文庫し10-27)ヴェロ-ナの二紳士
ヴェローナの青年紳士プローティアスとヴァレンタインが巻き起こす恋愛騒動の結末は――。シェイクスピア初期の喜劇作品。解説 中野春夫
・シェイクスピア全集28(文庫し10-28)尺には尺を
性、倫理、欲望、信仰、偽善、矛盾だらけの脆い人間達を描き、さまざまな解釈を生んできたシェイクスピア異色のシリアス・コメディ。解説 井出新
・シェイクスピア全集29(文庫し10-29)アテネのタイモン
なみはずれて気前のいいアテネの貴族タイモンをとりまく人間模様。痛烈な人間不信と憎悪、カネ本位の社会を容赦なく描いたきわめて現代的な問題作。
・シェイクスピア全集30(文庫し10-30)ヘンリ-五世
『ヘンリー四世』で手に負えない少年だったハル王子が、徳も分別もある王「ヘンリー五世」へと成長し、フランス征服に乗り出す。解説 由井哲哉『ヘンリー四世』で手に負えない少年だったハル王子が、徳も分別もある王「ヘンリー五世」へと成長し、フランス征服に乗り出す。解説 由井哲哉
・シェイクスピア全集31(文庫し10-31)ヘンリ-八世
16世紀、デューダ朝。欲望、奸計、闘争が渦巻く中、最強の王、現る。稀代の王をめぐるシェイクスピア晩年の壮麗な歴史劇。解説 河合祥一郎
・シェイクスピア全集32(文庫し10-32)ジョン王
話題の個人全訳全集! 「イングランド史上最悪」と評される弱き王と個性的な周囲の人物が織りなす混迷の初期歴史劇。解説 中野春夫
・シェイクスピア全集33(文庫し10-33)終わりよければすべてよし
二十五年間にわたる個人訳、全巻ここに完結。最終巻は、善と悪とが縒り合された人物たちが、とめどなく刺激的な言葉を繰り出す問題劇。解説 前沢浩子
著者等紹介
シェイクスピア,W.[シェイクスピア,W.][Shakespeare,William]
1564‐1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を持ち続けている
松岡和子[マツオカカズコ]
1942年、旧満州新京生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。