内容説明
シェイクスピア作品の中で唯一、同時代のエリザベス朝のイングランドを扱った市民劇。無類の酒好き、女好き、太っちょの悪党フォルスタッフ。素寒貧になった怪騎士が思いついたのは、金持ちの人妻に言い寄って、金も恋も思いのままにという企み。ところが陽気な女房たちの仕掛けに逆にはまってしまって大騒ぎ。ウィンザーの多彩な面々に懲らしめられるドタバタ喜劇。
著者等紹介
シェイクスピア,W.[シェイクスピア,W.][Shakespeare,William]
1564‐1616イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を持ち続けている
松岡和子[マツオカカズコ]
1942年、旧満州新京生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
384
初演の当初から人気作であったらしく、何度も再演されたようだ。たしかに舞台での上演を見れば、脚本を読んでいるよりはずっと楽しめるだろう。ことにフォルスタッフをはじめとした俳優陣が充実していればなおさら。逆に言うと、劇そのものには人間の実相を抉るような深淵なものがあるわけではなく、大いに笑い飛ばす種類のものである。喜劇はそれでいいのだろうとも思う。そうは言っても、騎士階級のフォルスタッフをブルジョワ階級の市民たちが翻弄するのであるから、そこには風刺の精神が色濃く横たわるのであるが。2021/09/30
ケイ
116
ふざけたおデブのフォルスタッフはヘンリー五世の仲良しだったが、この人が中心に出てきてしまったこの劇はもうむっちゃくちゃ。魑魅魍魎蠢く宮廷ものからのスピンオフには大笑いを持ってきたのだろうか。バカにされてても分からない男がまた楽しい。この劇のMVPはエヴァンズ牧師に。こんな牧師さんが街にいたら、そこは平和だわ。2022/02/01
KAZOO
87
松岡さんの訳は本当にすらすらこちらの頭の中にも入ってきます。なまっている言葉など結構難しいような言い方をされたりしています。かなり苦労されたのでしょうね。フォルスタッフという太った騎士が悪だくみをするけれどもかえって逆襲されてしまう話ですが、誰かの歌劇でも似たような話があったように思われますが?楽しい喜劇です。2015/08/22
Gotoran
55
シェイクスピアが生きた時代のエリザベス朝のイングランドで繰り広げられる市民劇。『ウインザーの陽気な女房たち』二人(アン・ペイジとアリス・フォード)tp無類の酒と女好き、太っちょの騎士フォルスタッフが主人公。フォルスタッフがブルジョアの二人の女房をものにしようとするが、それに怒った二人が仕返しに3度に亘って懲らしめられ、憂き目に遭わされる。ウインザーの町の人々とフォルスタッフとその手下らが、奇想天外な出来事に引き込まれてしまうドタバタ喜劇を満喫した。2017/08/15
優希
46
面白かったです。酒好き、女好きで太った悪党フォルスタッフの素寒貧になって思いついたのが金持ちの人妻に言い寄り、金も恋も想いのままにしようとする企みでした。ところが陽気な女房たちの仕掛けにはまってしまうので大笑いしたくなります。ドタバタ騒ぎの喜劇を思い切り楽しみました。騙そうとする人間が騙されるのが最高です。2014/10/22