内容説明
求婚しようとした王女とその父の近親相姦を見抜いてしまった時から、ペリクリーズの波瀾万丈の旅が始まった―。詩人ガワーの語りという仕掛けのなかで、次々と起こる不思議な出来事。苛酷な運命を乗りこえ、長い歳月をへて喜びに包まれる、ペリクリーズと家族の物語。イギリスで人気の高い、シェイクスピア最初のロマンス劇を新訳で。
著者等紹介
シェイクスピア,W.[シェイクスピア,W.] [Shakespeare,William]
1564‐1616イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を持ち続けている
松岡和子[マツオカカズコ]
1942年、旧満州新京生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
118
解説によると、『冬物語』や『テンペスト』、そしてこの『ペリクリーズ』はシェイクスピア晩年作品。波乱万丈の後に訪れる収束。テンペストしかり、航海で様々なことに見舞われるのは、シェイクスピアの時代がイギリスが海に乗り出して行った頃と重なるのかもしれないな。ヘンリー七、八世の頃は、フランス、スペイン、オランダぐらいとの行き来が主だったのが、エリザベス一世の時には海を含めた戦略となっていたようだから。それにしても、ペリグリーズの波乱万丈はもう神話レベルだった2022/02/11
KAZOO
91
出てくる人物などがギリシャ時代のような感じで、ギリシャ劇のような感じです。悲劇ではなく最後にハッピーエンドになるのですが、途中様々な事件などがあったりして結構面白い感じの劇です。松岡さんが蜷川さんのために訳した劇ではペリクリーズが内野聖陽、その奥さんと娘が田中裕子という出演者であったということでぜひ見たいきがしました。2015/09/04
優希
54
スケールが大きいですよね。求婚しようとした女性の近親相姦を見抜いてしまったことから波瀾万丈の旅が始まるペリクリーズ。漁師たちの会話に感心したり、サイモニディーズから好意を抱かれれば陰謀だと思い込んだりとつまづきながら再生していくのが面白かったです。幸と不幸の間を行ったり来たりしながらも最後は大団円で終わるので安心しました。タイーサの甦りや女神ダイアナの神託などお伽噺のような要素もあるロマンスが素敵です。2014/10/23
yumiha
41
楽しんだのは、穿った視線によるセリフの数々。これまでに読んだシェークスピア戯曲の中で一番かも。特にペンタポリスの漁師たちの会話が、ふむふむと面白かった。意外だったのは、ペリクリーズが領主を務めるタイアが今のレバノンとか、ペリクリーズを陥れたアンタイオケは、今のシリアの王というように、現在では戦争情勢に絡んでいる中東が舞台だということ(それだけギリシアの勢力が大きかったから?)とか、地中海が遭難など起きるほど荒れた海だということ(瀬戸内海のように静かな海だと思い込んでいた💦)などなど。2024/10/06
絹恵
39
海で始まった幸と不幸の連鎖によって、探すように、求めるように、旅をするけれど、その航海は容易なものではありませんでした。それでも疑念と理解を重ねながら、陸上でしっかりと幸福のほうへ歩き出すことが出来た構造が良かったです。海で生まれた幸福の象徴は娘のマリーナという名前が何よりも表していると思いました。2015/06/19