出版社内容情報
謀反と叛乱に翻弄される王ヘンリー四世の治世下で、王子ハルとほら吹き男フォルスタッフとの軽快な掛け合いが人気の史劇。
内容説明
ヘンリー四世の治世は貴族の叛乱と鎮圧に明け暮れた。そのかたわらで放蕩息子の王子ハルは、大酒飲みのほら吹き騎士フォルスタッフとつるんで遊び歩くが、父の忠告に一念発起し、宿敵ホットスパーを執念で討ちとる。父の死後、ハルはヘンリー五世として期待を背負って国王の座につく―。ハルとフォルスタッフの軽快な掛け合いが見どころの人気英国史劇。
著者等紹介
シェイクスピア,W.[シェイクスピア,W.] [Shakespeare,William]
1564‐1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ37編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている
松岡和子[マツオカカズコ]
1942年、旧満州新京生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
125
岩波訳で既読。ヘンリー四世となるボリングブルックについた側のパーシー、ヨークらが謀叛。不満はもっともだが、やはり大義のない謀叛側。ウクライナに向かったロシア兵に重なる。その描写はコメントに。シェイクスピアの歴史劇。感動-否 面白さ-否 ワクワクもなし。だが行間や言葉の持つ意味が興味深く、決して退屈しない。フォルスタッフの口上は長すぎ。女王ですら愛したキャラクターだが、私は演劇を楽しむことに長けていないのか。ハル王子にも魅力は感じず。ホットパーシーや彼の仲間たちにハル王子を打ちのめして欲しかった。2022/04/02
ケイ
109
リチャード二世から続けて再読。今回は、ホットスパーの気持ちはワグネルじゃないかと(ヘンリー四世がプーチン)感じた。恐れろ、ボリンブルックよ、お前がリチャード二世にされたことを、ホットスパーにしていたのだよ、このままで済むと思うなよ、と読めば読むほどに思う。ホットスパーなんて、フォルスタッフにまで…、かわいそうに。ハルが父の王冠を勝手に被るあたりは、やはり前触れなのかもしれない。司教を介さず自ら手にするなど、もってのほかだ(チャールズ国王の戴冠式をみたから、尚更感じる)2023/06/26
優希
83
15世紀イングランドを舞台にした史劇であり、喜劇であると思いました。貴族が叛乱し、その鎮圧に追われるヘンリー四世。父親に反抗するかのような放蕩息子のハル王子。名誉の必要性掴むことの難しさを大酒飲みでほら吹きな騎士・フォルスタッフとつるんでいるうちに感じ取って行ったのだと思いました。だからこそ、父親の忠告で改心し、宿敵を討取り、後のヘンリー五世となったのでしょう。名君となった背景が放蕩であり、その時間も必要であったと感じます。冷酷に過去を切り捨て、国王になる決意が鮮やかに浮き彫りにされていました。2016/04/27
NAO
59
簒奪王ヘンリー4世は、常に罪過にさいなまされ、良心の呵責から逃れられず、部下を全面的に信じきれずに疑心暗鬼となっており、国内では叛逆と背信が繰り返されている。このヘンリー4世の時代は中世的騎士道が重んじられたが、エリザベス朝にもなると中世的騎士道は旧式と考えられるようになってきていた。そういった時代風潮の中で、シェイクスピアが、即位後の皇太子の謹直さを際立たせるためにまた多少風刺的な色合いをこめて登場させた脇役のフォルスタフが、俄然人気を博することになった。⇒2023/02/17
Gotoran
54
英仏100年戦争の時代、英国王リヤード二世から王位を奪ったヘンリー四世と貴族との確執をメインに、王子ハルと悪友フォルスタッフの放蕩無頼をサブにストーリーが展開する。名脇役のフォルスタッフはデブっちょで、呑兵衛で、好色で、臆病で、嘘つきで、ズルばっかりしているが、限りないウイットに恵まれ、時として深遠な警句を吐く憎めない人物だ。王宮での格調高い会話のシーンの後に居酒屋でのろくでなし達の下品で猥褻な会話が繰り返される、それが圧巻だ。15世紀初頭英国を扱ったシェイクスピア史劇(喜劇)を面白く読んだ。2018/03/21