内容説明
舞台はスペイン領シチリア島メッシーナ。凱旋するアラゴン領主ドン・ペドロ軍の2人の青年貴族、フィレンツェのクローディオとパドヴァのベネディックは皆の注目の的。クローディオは知事レオナートの娘ヒアローに思いを寄せ、独身主義のベネディックは男嫌いの知事の姪ビアトリスと丁々発止の舌戦を交える。2組の男女が織り成す小気味よい恋愛劇。
著者等紹介
シェイクスピア,W.[シェイクスピア,W.][Shakespeare,William]
1564‐1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている
松岡和子[マツオカカズコ]
1942年、旧満州新京生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
115
シェイクスピア劇では、女が貞淑でない場合、男は女を罵倒する。特に人前を選び、女性に恥をかかせようとする。お芝居だから浮気は実は誤解で…ということがほとんどなのだが、そういうことをされれば罵倒する男だと言う事実は消えない。だから大団円なの?と思うのだが、浮気した嫌疑で王妃のアン・ブーリンは首を切られたぐらいだから、この時代の芝居では不思議ではないのだろう。浮気される自分に魅力がなくて悲しむ、とはならないのだなあ。劇で登場人物がしてしまう言い間違えは、話す相手が身分が高い人の時に頻繁だという訳者の分析が面白い2022/02/13
KAZOO
96
シェイクスピアの喜劇に属するのでしょう。恋愛劇ですね。「おかしな言い間違い」マラプロピズムというらしい、これが多用されているのです。訳者も備忘録に日本語でメモをしているようです。こんなに様々な悲喜劇を書くのですから、シェイクスピアが何人かの名前ではないかというのもあながち間違いではないかもしれません。この訳者の初演はすべて男性の出演者だったようです。2015/09/15
絹恵
38
したたかさによって結ばれる縁もあれば、もう結婚しちゃえよと言いたくなる二人の言葉の遊戯もあって、面白かったです。幸福な終わりに向かう道程で、誤解の解き方がロマンチックだと思いました。彼女が仮面を取り外して真実を見せたときの彼の幸せな顔が浮かびます。そして、否定と否定を掛けると肯定になるようなそんな結婚を見ることが出来ました。2015/03/31
ホームズ
32
最初は登場人物たちがごっちゃになってしまい物語に着いていけない部分もあったけど、慣れてきて落ち着いて読めるようになると楽しめる(笑)本で読むのも良いけど劇場や映像で見ても楽しめるような内容で良かった(笑)やはりシェークスピアは悲劇も喜劇も一通りは読んでおくべきだな~。2014/04/30
kochi
24
アラゴンの領主ドン・ペドロが凱旋の帰りにシチリア、メッシーナの知事を訪れる。側近のクローディオは、知事の娘に一目惚れし、両者の婚礼がととのう一方、顔をあわせばバシバシとやり合うビアトリスとベネディックをくっつけようとする企みも同時進行し… 宝塚雪組バウ公演の原作ということで、予習のために読む。ビアトリスとベネディックの丁々発止のやりとりと、後半登場する愉快な官憲たちの「言い間違い」(英語特有のようで理解し難いが、訳註が詳しいので頭ではなんとなく)の数々が漫才のよう。これ、どうやって学園ものになるのか!2021/12/18