出版社内容情報
ローマの武将アントニーはエジプト女王クレオパトラとの恋に溺れ、ローマと敵対。帝国の命運をかけた恋は劇的な結末を迎える。
内容説明
ローマの将軍アントニーは、エジプト女王クレオパトラとの恋に溺れ、ローマと敵対、対オクテヴィアス・シーザー軍との戦いに敗北する。アントニーは、その原因が女王の裏切りにあると誤解。クレオパトラはアントニーの怒りをおさめようと、自害したと嘘の知らせを伝えさせるが―。帝国の命運をかけた恋は劇的な結末を迎える。
著者等紹介
シェイクスピア,W.[シェイクスピア,W.][Shakespeare,William]
1564‐1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている
松岡和子[マツオカカズコ]
1942年、旧満州新京生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
117
シェイクスピアで一番かな。彼は歴史の中の一場面を描くため、アントニーがクレオパトラに溺れオクタヴィアヌスと対立するに至った経緯は語られない。中心のローマにいるオクタウィアヌスは足固めが出来るが、アフリカで余所者であるアントニーはその地の美しい女王と夫婦同然となることが統治にも適していたのだろうか。女といても、アントニーの雄弁さと勇猛さがしばしば現れる。特に裏切ったイノバーバスへの手向けの言葉の聴かせる力。どう生きたかはどう死んだかであり、その際に自分にも他人にも証明される。クレオパトラの最期もしかり。2022/01/05
KAZOO
100
この作品の感想はほかのかたがたもいろいろ書いておられますが、あまりすっきりしない感じがします。分類的にも悲劇なのかあるいはロマンスなのか、はっきりしません。クレオパトラがあまりにも感情を出しすぎているのとしゃべりすぎな気がします。というかやはり劇なので言葉に出さないとわからないという感じなのでしょう。読んでいてそう感じました。どうも映画で見たリズ・テーラーのイメージが大きいのでそちらに引っ張られる気がしました。2015/09/24
アナーキー靴下
72
今まで読んだシェイクスピアの中では、短い台詞の掛け合いが多く、内容もコミカルで、前半は手塚治虫の漫画のようなイメージが浮かんだ。後半は状況(戦況)が把握しにくく、アントニーの目まぐるしい変化についていくのが難しい。その変化もまた状況を示しているのだろうが…。クレオパトラの魔性に陥落し愛に狂う様は、一方で活力に溢れた生、いきいきとした現在。高潔なローマの英雄は、一方で過去の栄光に過ぎない。真っ二つに引き裂かれ、破滅するしかなかったアントニー。しかし忍び寄る老いが、すべてを不確かにしただけなのかもしれない。2023/07/05
yumiha
37
『をとめよ…』(瀬戸夏子)の「女人短歌」をめぐる男性歌人のセクハラそのもの発言にうんざりしたので、本書でもセクハラ台詞が目についてしまう。当時の女性観をそのまま受けてのシェイクスピアなのだろうが(参考にしたプルターク『英雄伝』の描き方のせい?)、軽率なクレオパトラには美貌の他にエエ所がない。アントニーの「三度も男を替えた淫売め」の罵倒は、ファルヴィア→オクテーヴィア→クレオパトラという三人の女を巡った自分をお忘れのようだ。これを純愛と呼ぶのだろうか?イノバーバス(アントニーの臣下)の描き方のほうが人間的。2025/10/18
絹恵
35
両立しない言葉も意味を通すことが出来るのは、立場に伴う責務ゆえなのだと感じました。或いは情欲という軛に囚われ続けているのだと思います。愛した亡霊が去り、それは感情の放出に繋がります。良くも悪くもクレオパトラの感情的な部分が、女性は感情的な生物という言い回しの権化のようでした。だからこの感情は物語を喜劇なのか悲劇なのか曖昧にさせます。2017/10/17




