内容説明
スコットランドの武将マクベスは、荒野で出会った三人の魔女の奇怪な予言と、激しい夫人につき動かされ、かねてからの野心を実行に移していく。王ダンカンを自分の城で暗殺し、王位を奪ったが、その地位を失うことへの不安から次々と罪を重ねていく…。四大悲劇の一つを新訳で。
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感想・レビュー
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ケイ
132
やはり誰でも知っているシェイクスピアの名作はいいなあ。恋にうつつを抜かす喜劇もいいが、悲劇こそ語りが、特に独白が迫ってくる。場面が目に浮かぶ。森が動く程の敵の軍。世界の秩序が壊れた時に、フクロウが悠々と楽しげに飛ぶ鷹を襲う。。。マクベスがリチャード3世で、イギリスからやってくるマルカムがヘンリー7世を仄めかしているのかと思いながら読んでいたが、解説によるとシェイクスピアの時代に即位したジェイムズ一世のことのようだ。それについて理解するにはまだ勉強不足。2022/02/14
KAZOO
97
四大悲劇ということなのですが、私は昔からこれが悲劇に入るのかなあと感じています。あまり悲劇というよりも人間の心のあり様・欲望がどのような結末を迎えるかを描いていると感じています。マクベスの心の動きを見ていると独白やその後の夫人のセリフなど人間の欲望の心理をうまく言葉にしていると感じます。2015/07/30
やいっち
80
せっかくの休日なので温存(?)してきた松岡和子訳の「マクベス」を一気読みした。既存の訳でも何度となく。さすがのシェイクスピア作品を楽しんだ。今回は過日レベッカ・ソルニットの「ウォークス」を読んだばかりだったこともあって、魔女像が気になった。さすがのシェイクスピアと言えど、紋切り型の魔女像。だけど、魔女って? 2024/04/30
クプクプ
79
魔女のセリフだったか忘れましたが「良いは悪い」という表現がいくつか出てきて、人生には対義語が当てはまるときも、そういえばあるな、と納得しました。また「なぜ人生の近道が出来ないのか」というセリフも当たっていると感じました。マクベスとマクベス夫人の人間性が面白かったです。2021/10/29
がらくたどん
67
「マクベスとマクベス夫人は、言ってみれば一卵性夫婦だ」直近で結合双生児の意識が一つの身体の中で縦横無尽にスイッチングする大変に刺激的な物語を読んでいて思い出してしまったのが本書の「訳者あとがき」の第一声。マクベスの潜在していた野望に火をつけたのは誰か?三人の魔女の予言はマクベスの潜在的な野望。でも彼は及び腰。王の暗殺を迷う彼を叱咤するのはその内面に癒着した夫人の声。野望を果たした後に、三人の魔女からダメ押しのように破滅に向かう疑心暗鬼の呪いがかかる。真の魔女はいつも彼の中に居る。憎いぜ紗翁♪2024/11/18