出版社内容情報
16世紀、デューダ朝。欲望、奸計、闘争が渦巻く中、最強の王、現る。稀代の王をめぐるシェイクスピア晩年の壮麗な歴史劇。解説 河合祥一郎
内容説明
テューダー朝を継いで二十年余り。亡き兄の妻だったキャサリン妃との間に世継ぎがいないことに苦悩するヘンリー八世は、枢機卿主催の晩餐会で若く美しい侍女アンと出会う。一方、宮廷では奸計が渦巻いていた。政敵を追い落として昇りつめた者が、次に追い落とされる―。六度の結婚でも有名な稀代の王をめぐる、シェイクスピア晩年の壮麗な歴史劇。
著者等紹介
シェイクスピア,W.[シェイクスピア,W.] [Shakespeare,William]
1564‐1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ37編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている
松岡和子[マツオカカズコ]
1942年、旧満州新京生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
127
トマス・クロムウェルの出てくる作品を探していたら、ここに少し登場していた。上映されていた1610年代を考えると、エリザベス女王とクランマーが持ち上げられるのは確かに必然だ。ヒラリー・マンテルの『ウルフホール』のウルジー卿の話は、この途中から始まるのだな。サフォーク公とノーフォーク公が常に側近であるのだとようやく理解できて来た。だから、アン・ブーリンの処刑のあとも、あのようにいられたのだな。この王の時代は、裁いたものが次に裁かれるという、常に首を心配しなければならない時代だったのだと改めて思う。2021/10/26
ケイ
125
この時代の人物達や宗教改革、ヨーロッパの地勢図ついて何冊か読んだため、力関係がよく分かった。シェイクスピアの王朝劇では、王も常に争いのどちら側かにいたが、薔薇戦争が終わったことでヘンリー八世は争いより一段上におわす。エリザベス誕生の式典の際のセリフで「ale and cake」という言葉を見つけた。サマセット・モームの小説『お菓子とビール』のいい回しは、こんなところからなのか!伝統的に祝日や祭日に振る舞われるもので、転じて浮かれ騒ぎ、お祭り騒ぎの意味で使われるらしい。『十二夜』でも用いられていると。2022/03/23
ケイ
112
来月ヘンリー八世の舞台を観るので再読。ウルジーが追い詰められる場面を、ヒラリーマンテルは『光と鏡』の中で再現させたのだと気付く。ウルジーから与えられた注意を、マンテルのクロムウェルは最後に思い出したことだろう。。。『ウルフホール』の末尾に「カベンディッシュが書いたウルジーの伝記には、クロムウェルが泣いていたとあり、シェイクスピアはそれを読んだに違いない」とマンテルは作者の言葉として書いている。それもここに見つけられる。指摘したマンテルはもういないのだと思ったら、泣けてきた。2022/09/26
k5
76
アマプラで見られるBBCの「ウルフ・ホール」にはまってまして、かれこれシリーズを三周目。映画の「わが命つきるとも」や「ブーリン家の姉妹」も見たし、ドロドロ宮廷ドラマなヘンリー八世時代ブーム到来中なわけですが、本命のシェイクスピア。書かれた時代が近すぎて、今「昭和天皇」を語るような難しさはあるわけですが、十分魅力的な作品です。とくにウルジー枢機卿とキャサリン王妃のキャラクターがよかったです。2021/04/07
Gotoran
61
シェイクスピア晩年の史劇ではあるが、例えば『リチャード三世』『ヘンリー五世』などとは一線を画す。6人の女性を妻に迎えたことで有名な英国王ヘンリー八世。ストーリーには、王自身はあまり前面に登場しない、どちらかというと宮廷の人々との確執が描かれている。若干、盛り上がりに欠ける感は否めないが、権力闘争の渦中で消滅していく者、王の愛情を失っても誇り高く消えていく王妃キャサリンなど、人の世の移ろいと権力や栄華の儚さ・虚しさを垣間見ることができた。2021/01/28
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