内容説明
建設中に命をおとした父のあとを息子が受け継ぎ、大事業を成し遂げたブルックリン橋を渡りつつ、勃興期のアメリカ文明を思う。また、ドナルド・キーン教授のコロンビア大学退官に立ち会いながら、豊かに広がった日本学の水脈を遡行する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
109
1992年コロンビア大学日本学の世界的な権威ドナルド・キーン教授の退官のお祝いに講演目的でニューヨークを訪れた。そこで会った人、その人と関連した人、ニューヨークという土地など、余談に次ぐ余談の雑感集。マンハッタン島は、イーストリバーとハドソン川に挟まれた堅い岩盤から成り、またハドソン川は遠くカナダのモントリオールから流れる雄大な川である。マンハッタンの北端には、ニュージャージーとの間にジョージ・ワシントン橋、ブルックリンとの間にブルックリン橋と19世紀に潜函工法で建てられた。日本は江戸時代だった頃のこと。2023/09/26
かず
28
故ドナルド=キーン博士の退官記念講演に訪問した機会をまとめたもの。キーン博士やその周辺の日本学研究者に多くの紙面を割いている。私が心に留まったのは、①アイルランド人による激烈な黒人への迫害。自らも英国に長く隷属し、苦しい立場に置かれていたにも関わらず、新天地でさらに下の立場をリンチする。敬意を受けなかった人間は、他者に同じことをする。他者に愛敬を。②ユダヤ人についての考察。長く嫌われ者であったユダヤ人についての考察。③ブルックリン橋架橋の逸話。土木業界に身を置いているので(事務職だが)、興味深く読めた。2019/07/29
金吾
27
他の街道シリーズよりボリュームは少ないように感じましたが、コロンビア大学の日本文学研究の話(量的にもメインと感じます)は面白かったです。2022/04/13
yokmin
25
92年、私は企業のNY駐在員だった。東京本社の先輩より「司馬さんと新潮社の編集者(複数)が訪問されるので、必要に応じてアシストして欲しい」と。 編集者(女性)からは、本書p-161に書かれているように、日米経済摩擦で微妙な時期なので、司馬さんの講演のテーマを変えるとの話。 コロンビア大学で催された講演会には私も参加した。「日本仏教小論」がテーマであった。 編集者から「これは司馬さんからの贈り物です」とサイン入り本「明治という国家」を頂いた。今でも大事にとってある。2024/07/14
紫羊
17
他の巻とは少し趣が違う。散歩というのが相応しい淡白さに戸惑った。その代わりにといっていいのか、ドナルド・キーンさんを中心に据えて日本文化についての考察に多くのページが割かれている。古典が読みたくなった。2022/04/10
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