内容説明
私どもの血の中に、北海の怪獣狩人の血がまじっていることを知っただけで豊かな思いを持った──流氷寄せる北海道の海辺に、謎の海洋漁労民族「オホーツク人」を訪ねる旅。北辺に消えた民族を追いつつ、日本人とは何かを地球規模で考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
27
○訪れたことはありますが、歴史的な部分は何も知らなかったので楽しみながら読めました。マンモスハンター、研究者たち、林蔵と伝十郎、大海難、黄金の川、小清水でが良かったです。2022/03/28
さつき
17
ムック本『司馬遼太郎の街道をゆく2』を見てオホーツク人の存在を知り、本編も読んでみたくなり手に取りました。北海道オホーツク海沿いに住み海の恵みに寄って生きた狩猟採集民で、アイヌ文化に先行し影響を与えただろうとのこと。極寒の地で竪穴式住居で暮らしていたのかとまずはそこで驚いでしまいました。が、様々な食料をもたらしてくれるオホーツク海があり、狩猟採集をする人にとっては生きやすい場所だったとのこと。他にも山靼貿易の話し、江戸時代の樺太探検の話し、昭和14年のソ連船遭難事件など興味深いエピソードが多かったです。2015/12/05
時代
16
オホーツクをゆく。歴史というよりは、考古学的な観点からアイヌ、オホーツク人はどこから来たのかを考える。正直興味が湧かずで手強かった△2019/03/15
CTC
16
09年朝日文庫新版刊、初出は92年4〜12月の週刊朝日連載。“オホーツク街道”の巻。「私はズボンのすそをたくしあげて、毛脛をみせた」。半島の人々やモンゴル人は「脛に毛がない人が多い」のだそうで。当巻は1冊を通して、我々の体毛のルーツになっているかもしれないアイヌの人々について想いを巡らしている。特に印象的なのは、アイヌと密接な関わりがあるとされるオホーツク人の遺跡(モヨロ貝塚)を発見した米村喜男衛氏ら研究者たち。登呂遺跡発掘で敗戦直後のひとびとに「しずかな勇気をあたえた」後藤守一氏やその教え子たちなど。2018/05/22
mam’selle
15
数ある街道をゆくの中でもアカデミックな深掘りが顕著な作品だと思った。先月末に道東旅行帰ってきてから本作を読んだが、先に読むべきだった。旅行では網走市の道立北方民族博物館のオホーツク人など狩猟民の展示が圧巻だったが、司馬さんの解説を読んでから行けば、100倍面白かったはず。 司馬さんの歴史小説は中世から近代が多いけどれど、本州の縄文から弥生時代、北海道でのオホーツクから擦文文化、アイヌと、全く異なる時代変遷を初めて知る事が出来た。 またまた北海道旅行に行きたくなる一冊です。2022/09/30