内容説明
私どもの血の中に、北海の怪獣狩人の血がまじっていることを知っただけで豊かな思いを持った──流氷寄せる北海道の海辺に、謎の海洋漁労民族「オホーツク人」を訪ねる旅。北辺に消えた民族を追いつつ、日本人とは何かを地球規模で考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
30
登山家が未踏峰に憧れるように学者も新研究に情熱を燃やす。20世紀初頭、言語学、民俗学、考古学のフロンティアが北海道に出現。遺跡発掘で外来性のあるオホーツク文化が発見された。古代には北上してきた縄文人と交雑し同化。アイヌ文化の成立は13世紀。戦国期には大陸との交易を仲介していた。江戸期に綿栽培に鰊が肥料として大量使用され、蝦夷は和人の経済圏に組み込まれた。沿海州がロシア領になり、高付加価値商品の流入が途絶し、アイヌは交易相手から使役対象へと役割が変化。これが、長期的没落と和人の支配強化へのトリガーになった。2026/03/05
金吾
29
○訪れたことはありますが、歴史的な部分は何も知らなかったので楽しみながら読めました。マンモスハンター、研究者たち、林蔵と伝十郎、大海難、黄金の川、小清水でが良かったです。2022/03/28
はちこう
18
日本人のルーツについて考えさせられた。縄文人の末裔がアイヌとのこと。アイヌこそが日本列島の先住民の末裔ということになる。そのアイヌに対し差別があったことや、文化的にも人口的にも消滅に向かいつつあることは残念でならない。どうか、消滅することなく永く存続しつづけて欲しいと思う。本巻では歴史的に有名な人物としては、間宮林蔵くらいしか登場しない。その代わりといっては何だが、モヨロ貝塚の発掘に貢献した米村喜男衛の名が何度も登場する。献身的な奥様とのエピソードが微笑ましかった。2024/12/21
さつき
18
ムック本『司馬遼太郎の街道をゆく2』を見てオホーツク人の存在を知り、本編も読んでみたくなり手に取りました。北海道オホーツク海沿いに住み海の恵みに寄って生きた狩猟採集民で、アイヌ文化に先行し影響を与えただろうとのこと。極寒の地で竪穴式住居で暮らしていたのかとまずはそこで驚いでしまいました。が、様々な食料をもたらしてくれるオホーツク海があり、狩猟採集をする人にとっては生きやすい場所だったとのこと。他にも山靼貿易の話し、江戸時代の樺太探検の話し、昭和14年のソ連船遭難事件など興味深いエピソードが多かったです。2015/12/05
mam’selle
17
数ある街道をゆくの中でもアカデミックな深掘りが顕著な作品だと思った。先月末に道東旅行帰ってきてから本作を読んだが、先に読むべきだった。旅行では網走市の道立北方民族博物館のオホーツク人など狩猟民の展示が圧巻だったが、司馬さんの解説を読んでから行けば、100倍面白かったはず。 司馬さんの歴史小説は中世から近代が多いけどれど、本州の縄文から弥生時代、北海道でのオホーツクから擦文文化、アイヌと、全く異なる時代変遷を初めて知る事が出来た。 またまた北海道旅行に行きたくなる一冊です。2022/09/30




