内容説明
一人旅の女性が古書店で見つけた一冊の本。だが、その本を手にした彼女は、広島県の芸備線三次駅で絞殺死体となって発見された。しかも、被害者の所持品に本は含まれていなかった。捜査が進むにつれ、被害者は浅見光彦の妹・祐子と8年前にこの地方を旅していて土砂崩れに巻き込まれ、一人生き残っていたことが明らかになる。“後鳥羽伝説”の地を舞台に再び起きた悲劇の意味は……。名探偵浅見光彦が初めて登場した記念碑的作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
174
内田氏の3作目にして名探偵・浅見光彦の記念すべきデビュー作です。後鳥羽伝説との関係性はやや強引ながらも意外な犯人の趣向が素晴らしい満点の出来栄えですね。「死者の木霊」の武村巡査とよく似た野上刑事はやや気弱ですが同じく好感が持てて、私は広島カープの往年の名捕手・達川さんを心に思い浮かべましたね。このトリックは巨匠エラリー・クイーンも初期長編で使った大ネタで全ての作家が生涯に一度は挑みたいと考える魅力的なテーマなのでしょうね。名探偵・浅見光彦は人柄も良く魅力的な愛すべき性格でその明るさが一番の美点でしょうね。2018/04/06
chantal(シャンタール)
101
【光彦さんと行く47都道府県】6県め。これが記念すべきシリーズ第一作!舞台は広島三次、でも光彦さんはなかなか現れない。三分の一ほど進んでやっと登場、しかも、なんと8年前の事故の被害者の兄として!そう言えば、これもドラマで見たなあ。誰が光彦さんだったっけ?半分過ぎたところでやっと探偵として動き始めるのだが、そうか、こんな始まりだったのか。4人も続けて殺されるというかなりの大事件、犯人もなかなか分からず、推理も楽しめた。広島以外、島根県仁多町などにも行き、列車も多く使われて楽しかった!昭和60年の作品😅2020/02/27
k5
78
浅見光彦の初登場作品。ドラマでよく観た浅見シリーズですが、小説読むのは初めてかも。承久の乱の本を読んだついでに読んで、失礼な話ですが、期待していたよりも何倍も面白かったです。謎自体はよくあるストーリーのようにも見えますが、中世史を背景に置いてみたり、何よりも謎解きのプロットが丁寧なので最後しっかり驚けます。シリーズ何冊か読んでみようと思います。2021/10/10
涼
45
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2025/11/post-471c38.html 浅見光彦シリーズ、最初の本。シリーズを読み直す予定にしている。最初に読んだのは、12年も前のことだ。2025/11/30
セウテス
45
内田康夫氏を読んだ最初の作品です。名探偵浅見光彦が初めて登場したのですが、この時はまだ被害者の兄の立場でした。後鳥羽伝説と云われる、後鳥羽上皇が都落ちしたおり、使われたのではないかと思われる道程を旅した女性が殺されます。更に別の殺人事件が起こり、二つの事件の関連性を疑う野上刑事は、光彦と共に犯人を追います。意外な人間の繋がりが、少しずつ紐解かれていくと、八年前の事故の真相と共に真犯人の姿が見えてきます。犯人を追い詰めていく二人の執念、それを巡る人間ドラマ、犯人を示唆する伏線と、読み応えのある作品ですした。2014/08/01
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