内容説明
邪馬台国の研究に生涯を費やした考古学者・小池拓郎が殺される。浅見光彦は小池が寄宿していた当麻寺の住職から事件解決を依頼され、早春の大和路へ。古代史のロマンを背景に展開する格調高い文芸ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
68
トラベルミステリ。箸墓にこそ行った事は無いものの、どことなく未だ上古の風が吹いてそうな野の雰囲気が好きで奈良には何度も行っている為、イメージが湧きやすく面白く読めた。ミステリ的には被害者の過去の人間関係から邪馬台国論争、古墳の発掘までが上手い具合に絡まり合って実にいい出来。目次にある「ある単語」からある一件を想像したんだけど、本書が公表されたのはあの事件が発覚する前なのね。トラベルミステリの醍醐味は事件とその土地の文物が上手く噛み合っている所だとおもうけど、その意味では本書はまさに上質の出来だと思います。2020/04/16
ヨーコ・オクダ
25
浅見光彦シリーズ。特に歴史や考古学に興味があるわけではないので、どうしようかなー?なんて迷いつつも、舞台が関西(奈良)メインなので購入。邪馬台国畿内説派の老考古学者が殺された事件の謎解き&犯人探しストーリー。古代から伝わる話や天皇の墓など神秘的なエピソード絡みやからと言うて、ちょっと登場人物同士の巡り合わせがバッチリすぎかな?あと、文中に何度も出てくる「したしたした」折口信夫を読んだことがないので、なかなか雰囲気を想像するのが難しかった。でも、当麻名物の中将餅は食べたことがアルぞ!?(ちょっと自慢)2017/09/15
しんた
8
読むきっかけは最近ふしぎ発見で特集された箸墓。戦後間もない頃の恋愛のもつれを現代まで引きづる恐るべし執念?奈良県に旅してみたくなった2018/05/05
nobby
6
"神の手"騒ぎとほぼ同時期に偶然書かれた作品と分かって読破。やはり作家の見識の披露は否めないけど、展開分かりながらも後半は一気読み。怪しい人物の伏線は回収しながら、意外な因縁に持っていくのは流石。後味悪い悲劇もいつも通りか…2012/09/21
sweet november
5
数年前に一度読んで、もう一度読んでみたくなった。 自分が記憶していた内容と違った印象を受けた。忘却の際の記憶書き換えなのか? 奈良に10年間も住んでいたことがあるのに 箸墓古墳には行ったこともなかった。 今になり何故か惹かれる。 2023/11/23