内容説明
今秋、米の出来高も平年並みに戻ったが、高岡藩の財政はいまだ問題山積だった。勘定頭の井尻は出入りの商人から繰綿相場の話を聞いて、無断で藩の金を「空売り」に投資する。ところが繰綿の値は上がり続けた。家来の不始末に、正紀はどう決着をつけるのか!? 好評シリーズ第11弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
111
おれは一万石11作目 2019.12発行。字の大きさは…小。 高岡藩勘定頭・井尻又十郎は、上役の許しも得ず藩公金から十両を持ち出して繰綿問屋・郷倉屋の勧めで繰綿相場の「空売り」を行ないます。高岡藩世子・井上正紀の妻・京は、来月には子が生まれると言うのに、風邪を引きこじらせます。昨年に流産しているため正紀は、心配で仕方がないです。井尻が空売りした後、下がっていた価格が、品不足から繰綿の価格が上がりだします。井尻は、いま含み損を抱えています。そんな時に空売りした事が藩主・正国の知る所となります。井尻は…。→2020/02/11
kei302
40
「相場で稼ぐ」の回で登場した房太郎再登板。繰綿空売りで儲けるつもりが...。今回は荒事がほとんどなくて読みやすかった。まあね、殿様が町中をうろうろするのはいかがなものかというのは置いといて。正紀と年上妻女:京の姿を脳内再生しながら、上からの物言いの京と正紀のやり取りを楽しむ。シリーズ10作目を区切りに止めると言っておきながら、やっぱりもう少し続けることに。2020/03/13
はにこ
19
勘定方の井尻が繰綿の相場に手を出す。そのために高岡藩は借金返済期限の大ピンチ。たとえ藩の為とはいえ、無断で使い込みはまずいだろー。。こんなの現代の企業なら一発アウトじゃないかな。ともあれ、房太郎と高岡藩が協力して何とかピンチを回避。京が一番の高岡藩の頭脳。初めはあまり好きではなかったけど、今は一番好きかも。元気な赤ちゃんが生まれると良いな。2020/10/29
hiyu
9
何時の時代もこういう悪徳さがある。そして意外とも思える人物がその罠に。房太郎の意地が何とも切なく思えてならない。2020/03/08
ひさか
7
019年11月双葉文庫刊。書き下ろし。シリーズ11作目。繰綿相場の不正操作に巻き込まれた正紀は、これを解決しようと、いつものように家臣、同心山野辺、房太郎らの力を借りて奮闘する。身重の京の助言を受けながら、推理、探索、チャンバラとはらはらどきどきの展開に。安定路線です。2020/07/24