内容説明
江戸の盗賊たちに「鬼の平蔵」と恐れられている、「鬼平」こと火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長官・長谷川平蔵の活躍を描く時代小説の金字塔。
火付盗賊改方とは江戸の特別警察とでもいうべき組織。その長官を務める旗本の平蔵は、いまでこそ人あたりもよく笑顔を絶やさないが、若い頃は「本所の銕(てつ)」と呼ばれ、無頼の者からも恐れられた乱暴者だった。「悪を知らぬものが悪を取りしまれるか」と、人情の機微に通じた鬼平が悪を退治する。
中村吉右衛門が鬼平を演じたテレビ版をはじめ、映画、舞台、マンガと様々な形で愛されてきた作品で、2017年に放映されたアニメ「鬼平 ONIHEI」も大きな話題に。
2017年は「鬼平」が誕生して50周年。これを記念して全24巻を、ふりがなを増やして読みやすくなった決定版で順次、刊行。
シリーズも終盤の第22巻は、特別長篇「迷路」。平蔵のみならず、その周囲の者たちが次々に狙われる。与力、下僕が殺され、平蔵の息子、娘の嫁ぎ先までが標的に。敵は何者か? 盗賊改方への怨みなら、なぜ下僕まで襲うのか? 追い詰められた平蔵は苦悩の果てに、役宅から姿を消す……渾身の傑作長篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
107
鬼平シリーズ屈指の長編で非常にうまく作られています。与力や下僕が殺されて鬼平への包囲網がじりじりと迫ってくる様子は非常に今までの鬼平の短編に比べると手に汗を握る感じが出てきます。鬼平の息子や親族などにも手が伸びてきます。まあ最後はお決まりの決着をみるのですが、今回も鬼平の上司がきちんと最後を締めてくれます。2023/09/02
優希
48
鬼平の苦痛が伝わってくるようでした。連日命を教われる鬼平の拾遺と家族。恨みがあるなら何故下僕まで狙うのでしょう。挙げ句の果てに失踪してしまう鬼平が心配です。2023/03/17
金吾
35
○読み応えのある長編です。強烈な悪意を持ちかつ平蔵の性格を熟知している敵はなかなかの強力でした。広く網をかけて包囲網を縮めていく火盗のアプローチと敵の殲滅にはワクワクしました。2022/09/29
金吾
30
○一気に読んでしまいます。周囲を攻めていく悪意は鬼平自身を攻める以上に追い詰めていったように感じます。それの打開、そしてラスト2ページはホロリときます。2024/02/14
Kira
22
図書館本。読むのは三回目だが、何度読んでもいい。平蔵の心痛と苦悩が、こちらに痛いほど伝わってくる。この巻はとても気に入っているので、新装版を買って手元におきたいと思う。深夜に突然、鬼平を読みたくなったときのためにも。2023/02/24