内容説明
江戸の盗賊たちに「鬼の平蔵」と恐れられている、「鬼平」こと火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長官・長谷川平蔵の活躍を描く時代小説の金字塔。
火付盗賊改方とは江戸の特別警察とでもいうべき組織。その長官を務める旗本の平蔵は、若い頃、「本所の銕(てつ)」と呼ばれ、無頼の者からも恐れられた乱暴者だった。「悪を知らぬものが悪を取りしまれるか」と、人情の機微に通じた鬼平が悪を退治する。
中村吉右衛門が鬼平を演じたテレビ版をはじめ、映画、舞台、マンガと様々な形で愛されてきた作品で、2017年に放映されたアニメ「鬼平 ONIHEI」も大きな話題に。
2017年は「鬼平」が誕生して50周年。これを記念して全24巻を、ふりがなを増やして読みやすくなった決定版を刊行。
第十四巻に収録されているのは以下の作品。
平蔵の剣友、岸井左馬之助が見かけた、平蔵とも因縁あさからぬ老人。その偶然が平蔵の地位と関ってくる「あごひげ三十両」
盗みの引き込みの女と、その連絡役の男との許される恋は意外な方向に……「尻毛の長右衛門」
「急ぎばたらきの盗め人が一人ほしい」。そこで紹介された男の正体は。「殿さま栄五郎」
河原で小娘が侍に襲われた。その侍の懐中には平蔵宛の手紙が。「浮世の顔」
密偵として抜群の働きをみせる伊三次。だが、言うに言われぬ過去があり・・・。「五月闇(さつきやみ)」
浪人姿で歩く同心・木村忠吾に、声をかけてきた盗賊がいた。「さむらい松五郎」
解説:常盤新平
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
103
シリーズ14作目です。ここでは「五月闇」と「さむらい松五郎」が印象に残りました。前者では密偵の伊三次が昔の仲間に刺されて命を落とします。ある意味その仲間に殺されてもしょうがないという覚悟をしていたようです。また後者は兎忠こと木村忠吾が主人公のような感じで伊三次が亡くなったのちにその墓をつくってやったりとしています。が、また盗賊の頭に間違われて活躍する話です。池波さんは人情がらみが好きですね。2023/07/16
kinkin
100
鬼平犯科帳は順不同で読んでいるので時々話の展開で戸惑うことがある。しかしそこは著者の手腕、読み手を飽きさせない。どの話も十分練り上げられているからだと思う。そして鬼平を読んでいるとテレビのドラマのことが思い出されて各キャラに俳優さんの顔がぴたりとはまる。そしてそのキャラの中でも密偵たちがとても上手く書かれている。しかし「五月闇」では伊左次がさされて死んでしまう。残念。その次「さむらい松五郎」で忠吾のそっくりさんが現れ・・・で気分治し。解説は常盤新平さん。図書館本2022/08/08
優希
47
伊三次の死により鬼平を取り巻く密偵たちはどう動いていくのでしょう。命を狙われる鬼平は今後どうなるのでしょう。2023/03/13
金吾
34
○私財を投じながら任務を果たしている鬼平をあまりよく思っていない上司がいるということに今も昔も変わらないのかなあと思いました。忠吾が人違いされる「さむらう松五郎」はツボに入りました。「あごひげ三十両」「五月闇」も良かったです。2022/08/05
金吾
28
○有能な配下へのジェラシーは今昔あるのだろうなと思いました。他人の空似といいますが知人そこまで似ている他人にあったことないなあと思いながら読みました。2024/02/10