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内容説明
松岡正剛が五十年にわたって読んできた科学書の中から宇宙論と素粒子論をめぐる代表的な本を厳選。ガリレオ、ケプラー、ハッブルから始まって、いったん時間の矢とエントロピーにこだわり、そこから著者が絶大な影響をうけたヘルマン・ワイルの展望台に立って、一三七億年の宇宙史を相対性理論やインフレーション理論やダークマターの謎でかいつまむ。最後はパリティの問題、部分と全体の関係の問題、ゲージ理論、ヒッグス粒子など量子力学の頭目たちの代表作が並ぶ。
もやもやとしたランダムなものがなにか1つをきっかけに動き始める。何が先にあって何が後からくるのか。ゆらぎ、ゆがみ、構造、秩序、時間。この先、どうなるかわからない宇宙像に思いを馳せる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
76
筆者の本を読むのは何冊目だろう。初めて同氏を知ったのは、工作舎を設立し雑誌『遊』を創刊した頃だから、学生になって間もない頃か。『遊』や『現代思想』などを熱心に読んでいた。吾輩は本書を仕事の合間に読んできた。そう、知の巨人なのだろうが、あくまで知の編集者であり、必ずしも知の地平を切り開いた存在という認識は持っていない。本書は、「正剛が五十年にわたって読んできた科学書の中から宇宙論と素粒子論をめぐる代表的な本を厳選」したもの。吾輩の嗜好に叶うだけ、興味津々で楽しめた。題名を「宇宙という場」にすればよかったな。2020/08/30
へくとぱすかる
66
「千夜千冊」の最初の1冊として読む。宇宙論・素粒子論の一般書(とはいえレベルの高い本)の書評の形をとりながら、宇宙と素粒子、この世界の究極の物理像を求めて、現代物理の最前線を詰め込んだ1冊。テーマに沿って展開していく本ではなく、いきなり本論のみで構成したような感覚で、現代物理をユニークな角度で知ることができる。後半はミクロとマクロの世界を激しく往復し、著者は、ひとりの読者・編集者として、物理学者以上に世界像を必死につかもうとしているかのように思える。今年書かれた章も多く、歴代の本の重みと新鮮さを感じた。2020/09/29
たびねこ
12
千夜千冊シリーズの中では難解な1冊。著者がこの50年で読んだ宇宙論、素粒子論の本を、自分の感想(むしろ持論)を含めて紹介。ガリレオ、ケプラー、ハッブルから、現代の宇宙物理学者まで計26冊。松岡正剛氏なりに、かみ砕いているのだろうが、宇宙論は俯瞰できても、量子力学分野に分け入ると追いつかない。2021/10/30
アドソ
11
セイゴオさんはすごい。なんでも知っている。宇宙のことも素粒子のこともよく知っている。だが不思議と理系の人の語り口ではない。理系だとか文系だとかそういうのはどうでもいいのだけれど、いわゆる理系の話をあまりにも広い範囲で知っている人は理系っぽく見えない。我々が普段理系の人に理系っぽさを感じるのは、彼らの狭い専門性ゆえなのではないかという気がしてくる。セイゴオさんという哲人はそういう気にさせてしまう人だ。2021/06/30
二浪人ファーストアウト
5
◆一応理系なのですが、専攻が工学系だったので素粒子とかの理論物理は全然わかんないな……というのが感想。◆とはいえ、せっかく物理と化学をかじったことがあるのだから、いずれは原子核よりもさらに内側へ入り込んでみたいなと本書を読んで思いました。「私は「理学系」じゃなくて「工学系」だったので、"役に立つ"科学しか興味ないです」というのもなんか、ね。2021/05/26