内容説明
いまだ出現しないものをすでに見てしまっていなければならないというのが、私が文学に無理強いに負わせている凝視力であるが、ここに収めた文章のなかでそのような架空凝視の機能について充分言い足りているとは思われない。そのような主題が一本の芯となって連なっていない感じがしても、架空凝視の機能の展開は小説の方に譲って、ここではただ幾つかの文章のそこかしこにその文学的志向が隠見しているだけでよしとしなければならない。私のこれまで書いたエッセイ、評論、回想、随想などのすべてをここに集める……。(評論集「あとがき」より)
目次
序詞
寂寥
Ⅰ
あらゆる発想は明晰であるということについて
平和投票
即席演説
Ⅱ
何故書くか
あまりに近代文学的な
観念の自己増殖
還元的リアリズム
迷路のなかの継走者
三冊の本と三人の人物
二十世紀文学
ドストイェフスキイの方法
ドストイェフスキイの位置
ドストイェフスキイに於ける生の意味
ドストイェフスキイの二元性
読者と作中人物
ドストイェフスキイ論考
ラムボオ素描
ニヒリズムとデカダンス
Ⅲ
心臓病について
煙草のこと
臓器感覚
病歴
潔癖症
断崖病
単性生殖
「近代文学」雑記
後ろ向きのロボット
格構
闇のなかの甘美な推理
古い映画手帖
闇
未来の廃墟
ファン気質
美女と美男
伴奏音楽
拍手
五四年十大ニュース
光速者
アンドロメダ星雲