内容説明
いまだ出現しないものをすでに見てしまっていなければならないというのが、私が文学に無理強いに負わせている凝視力であるが、ここに収めた文章のなかでそのような架空凝視の機能について充分言い足りているとは思われない。そのような主題が一本の芯となって連なっていない感じがしても、架空凝視の機能の展開は小説の方に譲って、ここではただ幾つかの文章のそこかしこにその文学的志向が隠見しているだけでよしとしなければならない。私のこれまで書いたエッセイ、評論、回想、随想などのすべてをここに集める……。(評論集「あとがき」より)
目次
Ⅰ
自由とは何か
暗殺の美学
六月の《革命なき革命》
自己権力への幻想
死者の哀悼者へ
デモについて
選挙について
分裂と連帯
知識人と大衆
転換点における政治批判
党と大衆団体について
アンケートへの答
「永久革命」
抑圧の武器と反逆の武器
Ⅱ
空間人への出発
観測者の内界
宇宙のなかの人間
火星の植物
宇宙船
空間人時代
遠近法のさまざま
Ⅲ
闇
雑録ふうな附記
若い日の熱気
或る時代の雰囲気
戦争の時代
海鼠塀の想い出
Ⅳ
貧困の深さ
「人民の敵」について
戦争と科学者
滑稽感と恐怖感と
戦争と貧困をひきつれて
人工衛星と貧困の解決方式
積極的な中立主義について
知識人と大衆との結びつき
体制破棄の姿勢
精神の食いちがいのかたち
安保体制の見取図
現代の不思議な対比