内容説明
いまだ出現しないものをすでに見てしまっていなければならないというのが、私が文学に無理強いに負わせている凝視力であるが、ここに収めた文章のなかでそのような架空凝視の機能について充分言い足りているとは思われない。そのような主題が一本の芯となって連なっていない感じがしても、架空凝視の機能の展開は小説の方に譲って、ここではただ幾つかの文章のそこかしこにその文学的志向が隠見しているだけでよしとしなければならない。私のこれまで書いたエッセイ、評論、回想、随想などのすべてをここに集める……。(評論集「あとがき」より)
目次
Ⅰ
黒いランプ
自閉の季節――知識人の栄光と堕落
Ⅱ
論理と詩の婚姻について――真継伸彦氏への返事
文学は何をなし得るか
批評不信の底にあるもの
「自己批評」について
Ⅲ ドストエフスキイ――その生涯と作品
第一章 成長する作家
第二章 幼年時代の魂の形成
第三章 青年時代の精神の形成――『貧しき人々』
第四章 ペトラシェフスキイ事件、シベリア、『死の家の記録』
第五章 苦悩の準備期
第六章 作家の変貌
第七章 『罪と罰』
第八章 『白痴』
第九章 『悪霊』
第十章 『カラマーゾフの兄弟』
第十一章 ドストエフスキイの位置
Ⅳ
外と上からの解放――『パリは燃えているか』
事物の変化の瞬間――『忍者武芸帳』
魂の二重性――『マドモアゼル』
悪徳と美徳の組合せ――『アルジェの戦い』
巨大な無関係――『欲望』
苦渋の勝利――『審判』
白夜のなかの表情
政治における共感の難かしさ――『戦争は終った』
真実の多面性
映画と国家意識
暗黒の一体感
フォークナーの映画
飢えのなかの鶏
Ⅴ
無言旅行
安吾と雄高警部
辻邦生のこと
立原正秋の印象
存在のどんでん返し
栗田勇のコレスポンダンス
石堂淑朗のこと
女のいる風景――南良太郎についての断片
うちの先祖
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