内容説明
風光明媚な志摩半島の英虞(あご)湾は真珠の養殖で知られる。そこに、男の他殺死体が浮かんだ。被害者は作家の袴田啓二郎(はかまだけいじろう)、刑務所体験を書いた小説で人気を得ていた。所轄の鳥羽(とば)署は、かつての黒い交遊に関連するものとみて捜査を開始した。ちょうど美少女海女(あま)を取材中の浅見光彦は事件を知ったが、この名探偵を嘲笑(あざわら)うかのような、第2の殺人! 光彦、苦心の探偵行。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
65
浅見光彦シリーズ第22弾。〔再読〕志摩半島へ海女の取材に来ていた光彦と、時同じくして作家の男が殺されて海に浮かんだ。何か因縁めいたものを感じ、光彦はこの事件の調査を始める。いつもの通り、志摩から東北へと旅情を掻き立てる描写は、本シリーズの特徴であり美しいものです。話の展開としては残念ながら、東北へ光彦が向かう前に、犯人もその動機であろう背景も予想がついてしまうでしょう。その代わり、ラストは一寸考えさせられる最後となっています。犯人は罰せられなくては、ならないのか。又どんなに非道な者も、殺されても良いのか。2017/01/14
読書亀
11
1997年の作品。ギリギリのギリギリまで真相がわからない。 犯人は逮捕という形ではない。よかった。 浅見光彦シリーズの定番。警察で、身元を調べられて、あの浅見さんの弟さん⁉︎ってのが 大好き(笑)。2020/01/31
十六夜(いざよい)
7
浅見光彦シリーズ22弾。海女さんの取材で志摩を訪れた光彦だったが、作家が海で浮いていた事に因縁めいたものを感じ調査を開始する。相変わらず旅行記のような詳細な描写が興味をそそる。結末は途中で"こうでなかったらいいな〜"という風に進んでしまい、気落ちしたが結末的には良かったんじゃないかな。2019/03/24
ポインター
3
犯人はわかっても警察に逮捕されるシーンは描かれていない。もしかしたらそのまま見逃したのか・・・だったら犯人隠匿は浅見光彦も犯罪者だ、とか言わずに内容的に良いエンディングだった。実はテレビで見てたから内容は知っていたんだけど、知っててもおもしろさは小説のほうが数段上。ただ、この作品にも以前の作品を引用してまるでノンフィクションのような表現を使っている部分がありながら、ノンフィクション作家を否定するなど小説にはどうでもいいところが含まれているのが残念。2013/08/04
だいこく
3
舞台は三重県。1つ前に読んだ『熊野古道~』が微妙だったので、あまり期待せずに読んだのですが、旅情しててよかった(笑)。2010/09/24