内容説明
その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。
学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? 女性参政権、性的役割の解放、#MeToo……。フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
67
フェミニズムのトップランナーが、日本の20~30年代の行動的な女性たちに「フェミをどこで知ったの?」と聞くと、「エマ・ワトソン」とか「韓国のフェミ」と言われ、ショックを受ける。<日本にも半世紀も前からフェミニズムはあったのに。そんなわたしより年下の女の人たちに、フェミニズムの歴史をぜひ知ってほしい。しかも読みやすくコンパクトな形で届けたい。そんな思いからこの本をつくりました>と。フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、何を変えられなかったか。その流れを「四つの波」に分け解説。巻末に、フェミニズム人物小事典。⇒2023/01/14
おたま
49
フェミニズム及び、上野千鶴子自身が切り拓いてきたところを総括している内容。フェミニズムの歴史が非常に適切に書かれているので、まさにフェミニズムとは何かに対する入門書として最適。世界的にフェミニズムが高まった、第一波として平塚らいてうや伊藤野枝ら『青鞜』の運動やサフラジェット等の主として女性の権利・参政権を求めるものから始まり、上野自身もその参加者である学園闘争の中でもあった性差別に異議申し立てをする第二波。そして現在は第四波まできているという。2023/08/23
レモン
35
フェミニズムやフェミニストという言葉はなぜか良いイメージで使われることが少ないように思えて、フェミニズムとは何ぞや?という所から本書を手に取る。男女雇用機会均等法のくだりなどから、自分の中にあるアンコンシャス・バイアスに気づかされる。弱者を弱者のまま尊重することがフェミニズムだという。本書をきっかけに深掘りした本も読んでみたい。2024/03/10
venturingbeyond
32
平易な叙述で、入門編に最適。高校生でも十分に理解し、内容を咀嚼できそうなので、勤務校での人権教育に活用してみようと思っています。2022/07/11
katoyann
24
フェミニズムに関する歴史的考察を含んだ入門書。日本のウーマン・リブとアメリカの女性解放運動の違いを丁寧に説明することにより、フェミニズムが欧米由来の輸入の運動体であり、思想であるという間違いを糺している。全般的には現在流行りを見せているオンライン・フェミニズムの話まで説明されてあり、入門書としてはかなりレベルが高いと言える。リブのコアメッセージを引き受けるかのように「性の二重基準」批判から女性の自律を構想してきたという上野の一側面を読み取ることができ、面白い読書体験となった。2023/08/25