内容説明
そもそも人類学とは、どんな学問なのか。「わたし」を起点に考える「つながり方」とは何か? 「直線の生き方と曲線の生き方」「共感と共鳴のつながり」……。「違い」を乗りこえて生きやすくなるために。「人類学のきほん」をもとに編み出した、これからの時代にこそ必要な「知の技法」のすすめ。
第1章 「つながり」と「はみだし」
第2章 「わたし」がひらく
第3章 ほんとうの「わたし」とは?
第4章 差異とともに生きる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
85
学びのきほんシリーズ。丁寧に理論を積み上げており、人類学というとっつきにくい学問も身近に感じる。「わたし」とはそもそも何か?「人間は社会的動物である」という点でつながりには他者の存在が不可欠で、他者により自分との境界を意識する。しかし異文化を研究するにはわたしを開いておく必要があると説く。差異を強調して輪郭を強化するつながりより、輪郭が溶けだすようなつながり、はみだすような動きが重要だと。効率的な直線の線のようではなく、フリーハンドの線のような生き方にこそ生命の動きを感じられる、ということに共感します。2020/07/01
Rie【顔姫 ξ(✿ ❛‿❛)ξ】
33
2024年1冊目によい本を読んだ。薄くて字も大きく、平易に書いてあるので読みやすいけれど、内容は深い。ある個人と別の個人が対等だという個人の確立は近代のこと。個人主義にもとづくモノゴトの捉え方からは、自己責任という考えが生じる。しかし、この捉え方は時に矛盾と問題を生み出す。個人というのは他社との関係のなかから生まれるものであり、他社によって自分自身も異なる。これは海外に行ったときに特にはっきりと感じられる点だ。第4章の「直線の生き方、曲線の生き方」というのも印象的。効率だけを求める生き方が(続2024/01/03
かふ
29
人類学の本はこれまで読んだことがなかった。社会学や民俗学との境界もよくわからんが、ここで問題とされる「人類学」はサイード『オリエンタリズム』の批判で異文化研究として植民地(差異)を同化させるのではなく、境界を超えていく手法(フィールドワーク)、他者を変えるのではなくて自ら変わっていく「つながり」と「はみだし」、「私」が揺さぶられる経験こそが「私」を世界にひらいていていく。「私」という唯一のアイデンティティよりも関係性の中の「私」→「分人」の中で個人を超えてお互いに関係し合うことで境界を超えていく。2020/06/21
ま
21
優しい語り口で内容も平易ながら得られるものは大きい良書。人間って意識的にも無意識的にも他者と境界線を引くことで自己を意味付けているんだな。その境界をあえて飛び越えて自分を変容させてみる。個人はさまざまな属性を同時に有しているにもかかわらずそのうちの一つだけが異常に強調されがちな時代。アイデンティティを煽る政治にはちょっと身構えたほうがよい。そうか、自己責任論って平等主義の極致だったのか。2022/02/13
スイ
18
『「宗教」や「国境」という線引きだけで私たちは「分断」されているわけではない。むしろ、その境界がひとつしかないとする前提こそが、深い「分断」があるかのようなイメージをつくりだしている。』 良かった。 人類学、とはどういうものか、言葉のイメージだけで間違った思い込みをしていたのだけど、血の通った言葉でわかりやすく説明してくれている。 それだけでなく、人類学の専門家でない多くの人たちの現在の日常に繋がっていくように述べられているのが更に良い。 家庭と学校や職場以外のサード(できればもっと多く)プレイスを2020/05/19
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