内容説明
金田一耕助の不吉な予感は適中した――。彼の依頼人である刑部島出身の大富豪越智竜平が、島に凱旋帰郷した直後、恐るべき殺人事件が発生したのだ。まず、刑部神社祭礼の夜、宮司が何者かに刺殺され、続いて宮司の双生児の娘一人が、人里離れた隠亡谷で絞殺死体となって発見された。事件解決に向けて、金田一と磯川警部は手掛かりをつかむべく、懸命に島内を探索し始めるが……!? 巨匠が最後に綴った、記念碑的作品!!
カバーイラスト/杉本一文
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
79
下巻に入ると、様々な物事がサッーとテンポ良く動き出す。金田一の推理がいよいよ始まるのだが、何時も通り最後まで真相を明らかにしない。犯人や背景は、残念ながら伏線が語られるより遥か前に、こう言う事だろうと予測出来てしまう。終盤になり、金田一作品の名物とも言える大洞窟が現れ、思わずニンマリとなる。磯川警部の悲しい過去が、事件と関わって明らかになるという展開は、しみじみと心に残る。上巻で広げるだけ広げた怪奇設定が、きちんと説明されて収束するのは気持ちが良い。横溝作品の素晴らしさを盛り込んでいる、と思うと感慨深い。2017/06/23
TAKA
47
今作は磯川警部が主役でしたね。まさかの展開で、警部が事件の鍵を握るとは。今回は時代背景も高度成長期だったのもあるかもしれないが警察陣の活躍もすごかった。昔映画でみたのと原作がこんなに違ってたとは思わなかった。岩下志麻の巴御寮人は狂気過ぎたのか。横溝さんには洞窟は必須アイテムです。2019/01/29
yucchi
43
出ました!洞窟!やっぱりハラハラするのは洞窟内だよね!という事で、耕助さん(横溝氏)は洞窟マニアのようですね(笑) 犯人は割とすぐ解るかと。むしろ「完全捜査読本」の人物相関図を見ながら読んだので、「やたら◯◯◯◯型が多いな」と思っていた。だって私も好きなんだもん( ̄ー ̄) 物語的には次の「病院坂~」が金田一耕助引退作になるが、横溝氏の金田一耕助シリーズ最後の作品。次に書かれる予定だった等々力警部物、等々力・磯川両警部物も読んでみたかった。2016/11/27
りょうこ
43
面白かったです!金田一耕助シリーズはまるわぁ(笑)孤島とか洞窟とか、もう!ワクワクする!中盤でほとんどの謎はわかってしまったが、それでもラストまで飽きずに読了!この勢いで積んである金田一耕助シリーズ読むかな。2012/08/23
geshi
37
期待していた割に金田一の推理の必要もなく事件が行き着く所へ行った印象。事件の解説がほぼ犯人視点でなされているから、謎解きという感じではない。ただし磯川警部の話としては綺麗にまとまっているので、そこだけ評価できる。捜査する側が第三者ではなく密接に事件に関わり、過去の因縁が語られるのは、シリーズの終わりを意識したものなのかな。犯人が悪意ではなく狂気で動いていて、その中心である紅蓮洞に行くことで全てが明かされる構造は理解はできるし、横溝の力が入っているのも伝わる。2019/08/11