内容説明
アメリカ帰りの億万長者から人探しを依頼され、岡山を訪れた金田一耕助は、久し振りに会った磯川警部と旧交を温めた。だが、それも束の間、警部の話から金田一の尋ね人が謎の言葉を残して怪死したことを知る。さらに依頼人越智竜平が、出身地の刑部島に建設中の一大レジャー施設をめぐり、島の人々から反感を買っていることを知って、金田一は前途に不吉な事件の予兆を感じるが……!?
カバーイラスト/杉本一文
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
76
金田一耕助ファイル20、シリーズ25弾。金田一耕助最後の事件は「病院坂の首~」ですが、横溝先生最後の長編作品です。原点回帰がテーマなのだろうか、初期の良作の特徴を出そうとしている様に感じる。岡山の孤島が舞台で前後半に分かれている為、上巻は金田一と磯川警部の会話や、本作の設定の情景説明に頁をさいた感が強い。前半から、金田一の調査対象の男が死亡しており、シャム双児や孤島、神社、市子、鵺等々ミステリらしい語句がならぶのは、横溝作品らしいと期待感は膨らむ。しかし説明が剰りにも長い、伏線となるのはどれ位在るか心配。2017/06/22
TAKA
53
冒頭からシャム双生児。鵺の泣く夜。平家蟹。まさに横溝。おどろおどろしく幕開け。獄門島とおなじ瀬戸内の島、刑部島を舞台にした横溝最終章、磯川警部と金田一のコンビが嬉しい。後半から物語が動き始めようやっと殺人事件発生。下巻へ2019/01/26
yucchi
42
横溝ワールド炸裂の上巻。いかんせん登場人物が多くて「(´-ω-)ウム」となるが、先日読んだ「完全捜査読本」を横に置いているので安心(笑) 刑部家と越智家の確執、美女とそれを取り囲む男達。謎の蒸発と謎だらけ。終わり間近でようやく大きく事件が動き出す。しかし依頼人のくせに何かを隠してハッキリしない竜平にイライラ(#゚Д゚)y- 謎がどのように終結していくのか楽しみにしつつ下巻へ。2016/11/27
geshi
36
横溝の原点回帰というか、らしい要素が満載。シャム双子、鵺の鳴く夜、悪霊、おどろおどろしさを積み重ねながら、獄門島の近くにある瀬戸内の島へ向かう金田一耕助という舞台だてにワクワクしてしまう。あの磯川警部が強く関わっていることが示唆されているのもシリーズ読んできた人間としては嬉しい。方言が柔らかく耳に響くように書かれているので地方感がしっかりあるな。しかし同じ説明を二度繰り返したり、転落や蒸発の話が前後したり、導入が長ったらしく「ちゃっちゃと惨劇を起こせ!」と言いたくなるほどだった。2019/08/11
みや
36
金田一耕助11作目。上巻は島と人間関係の説明がほとんど。過去に起こった不穏な事件や謎が至る所で提示され、それらがある程度集まったところで最初の殺人が起こる。上巻はそこまでなので、やっとスタートを切ったところくらい。徐々に祭りへと盛り上がっていく島のボルテージと同調するように、こちらのワクワク感も上がっていった。ジェットコースターの登りで「来るぞ、来るぞ‼」みたいな感じ。きっと下巻は一気に目まぐるしく展開すると思われるので、すぐに続きを読みたい。2016/07/02