集英社文庫<br> 岳飛伝 十 天雷の章

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集英社文庫
岳飛伝 十 天雷の章

  • 著者名:北方謙三【著】
  • 価格 ¥616(本体¥560)
  • 集英社(2017/10発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087456202

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内容説明

梁山泊が南宋と金、それぞれと戦争状態に入った。呼延凌と兀朮が一進一退の攻防をしている最中、丞相・撻懶が病死した。金国内の混乱に乗じ、轟交賈の蕭けん材が監禁されるも、梁山泊の致死軍が救出した。水上では梁山泊の狄成らが、南宋の造船所を奇襲し、すべて焼失させた。一方、南では南宋の辛晃の動きを警戒する岳飛と秦容が互いに手を組むことを決める――。譎詐百端、風雲急を告げる第十巻。

目次

地会の夢
地急の夢
地全の夢
唐晩の風
青富の火

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

250
穏やかに見え、実は色々と動きがあった。蕭珪材との関わりによって、物流の在り方が大きく変化しそうな気配もあれば、水軍による戦を経て、南宋軍内の世代交代も進みそう。端的な言い方をしてしまえば、人の営みの近代化を超速で見せられたような印象。混沌を乗り越え、今の世代になって、梁山泊に幸福な家庭持ちが増えてきた事実が、一つの象徴。いつの間にか好きになっていた蔡豹の死は残念であったが、王貴と崔蘭が大方の読者の予想通りにハッピーエンド。二人の関係を気にしてやきもきする、親馬鹿岳飛の姿がもう見られないのは、かなり惜しい。2022/03/05

しんごろ

146
岳飛伝というタイトルにもかかわらず、あいかわらず岳飛の出番少ないけど、インパクトある活躍。海上戦は激しい闘いの中、張朔はさすが張清の子と思わせる活躍。岳飛も張朔も惜しい!王清、蔡豹、良かったよね。だけど、蔡豹…泣けたわ。宣凱に助っ人現れて、聚義庁の仕事の負担が減って、家族サービスできるといいなあ。地味だけど、かなり動きがあった今作。次作をすぐにでも読みたい。2020/07/05

眠る山猫屋

58
金国騒乱、いつしか金にはウジュ周辺以外に、これと言った人物が見当たらなくなってしまったなぁ。南宋の韓世忠が一敗地にまみれても、辛晃が南の果てで岳飛に挑む気骨をみせる。梁山泊の面々は大陸各地(大陸外にいるものも多いが)に拡散してしまっている印象。それが梁山泊の〝カタチ〟なのだが。造船基地焼き討ち戦では、二人の隊長が辛うじて生還したが、蔡豹は己を見つめ直し生き直しながら、力尽きて果てた。まるで青面獣のように。生き残る者と夢半ばで倒れる者の陰影が鮮烈な十巻だった。2019/12/14

future4227

56
今まで貯めに貯めた水が堰を切ったように一気に濁流となって流れ出す怒涛の第十巻。北においては金国と梁山泊軍がぶつかり、史進の騎馬隊が縦横無尽に駆け回る。長江河口では南宋水軍率いる韓世忠と梁山泊水軍が大激戦を繰り広げる。さらに南方では南宋軍と岳飛、秦容連合軍との初の山岳戦。久々の岳飛の戦いぶりに胸が打ち震える。その背後では米の流通をめぐる経済戦争も進行し、秦檜の深謀が冴え渡る。犠牲となった蔡豹と陳麗華の悲しくも清々しい生き様に涙を流しつつも、なぜだか言い知れぬ充実感を覚える。2020/10/01

sin

55
『水滸伝』では彼ら梁山泊は革命戦士であった。しかし旧宋は滅び、組織の存亡をかけた緊迫感に溢れる戦いは遠ざかり、史進でさえも寂寥感を隠せない。梁山泊もいまや戦いの資金源に造り上げた流通網を持った取り扱い品目がクリーンなマフィア?いや軍事力を持ったコングロマリットであろうか?梁山泊は物流で戦闘の在り方を一変させ、南宋はその流通網を断つことで梁山泊の力を削ごうと動き出す!一方、南方には自分たちの造り上げた街を守ろうと死闘する岳飛たちと小梁山の民がいた。2022/11/26

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