内容説明
梁山泊軍と金軍の果てしなく続く消耗戦。その最中、戦場に切り込んできた史進は兀朮にとどめを刺すも、深手を負い戦線を離脱。岳飛は南宋・程雲の首を獲り、臨安府に入る。一足先に呼延凌と合流した秦容は、金の沙歇との最終決戦に挑む――。激動の中華の地で、国とは何かを問い、民を救うために崇高な志を掲げ、命を賭した漢たちの生き様を余すところなく描き切った中国歴史巨編、遂に完結!
目次
幻王の空
天機の光
黄獅の風
地飛の夢
天魁の光
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
261
ついに辿りついた最終巻。ある程度予想していた通り、スケールが壮大すぎて、畳もうにも畳みきれず、風呂敷は拡がったまま、岳飛を焦点としたターニングポイントを通過した、という印象。ここまで来たら、著者も死ぬまで描くしかない。冷静に振り返ってみると、『水滸伝』を読んでいた頃に、私が期待していた梁山泊の未来とは、果たしてコレであったか、やや疑問の残るところではある。しかし、こうなった必然性というか、説得力を感じられるまま、ここまで読ませてくれたことに感謝。もし再読することがあれば、違った視点で多くの発見がありそう。2022/04/13
しんごろ
165
激闘、死闘の戦いの連続。岳飛の剣が切り裂き、秦容の狼牙棍が暴れ、呼延凌の七星鞭が唸りを上げる。その戦いの一方で、胡土児は金国を捨て、史進はあの地へ帰る。南宋と金国の戦いが苛烈を極める中、南方では潘寬、荀浩の南方留守番部隊と許礼の戦いも渋く見応えありだった。戦いは終わり、それぞれが旅立つ。岳飛よ。遥か遠い地で崔如と幸せにすごしておくれ。湖塞の頃の豪傑達も生き残ったのは二人だけかと想いに馳せる。ああ、ついに終わってしまった。梁山泊の漢達の生き様を目に焼きつけた。決して忘れることはないだろう。さらば梁山泊!2022/04/17
眠る山猫屋
62
これだけの大河な物語、簡潔に語るなど至難。史進に始まり史進に終わりを迎えた物語。様々な登場人物たちに寄せる想いも千々に乱れて。敵も味方も生き切った、だから少しづつ読み手の中に何かを遺してくれたのだと思える。史実とは異なる最期を迎えた者、その行く末を消し去っていった者。想いを馳せれば寂しさが消せない。生き残った者たちにも、もう逢えないのか。ああ。2020/09/14
なると
48
物語の殆どは最後の決戦に費やされていたけど、ウジュが史進に討たれた時点で、もう戦いは終わった感が。でも呼延凌が疲弊しているときに秦容が現れる再会はよかった。秦容が梁山泊を出ていったのは二世の重圧だったのね。最後は子午山で終わるか〜長い長い時間の中で、史進だけが全ての戦いを経験した。ずっと死に場所を探していると言われ続けたこの男が、戦場で死ねなかったことはある意味残酷だったかもしれない。でも「死ねないなら、生きるしかない。」と木にぶら下がって、上がらない腕のリハビリをする未来ある最後は温かい気持ちになった。2020/12/15
ポチ
47
水滸伝、楊令伝、そして岳飛伝、数えきれない程の英傑がそれぞれの志のために命を懸け散っていった。また皆んなに逢いたい。史進と侯真とあの場で一緒に酒を酌み交わしたいな。北方さん、ありがとう。2022/05/22