内容説明
南宋の根本を揺るがす「印璽・短剣」と引き換えに、秘密裏に南宋を脱出した岳飛。直後、許礼ら南宋軍に追われるも、梁山泊の致死軍に守られ南下、大理の近くで居を構えることに。そんな中、弱体化したかに思われた青蓮寺の不穏な気配が其処彼処で感じられるようになる。一方、秦容のいる南の開墾地は銭が流通し、町としての機能が整い始めていた―。独り聳立する岳飛。ついに岳家軍、再起の第七巻。
目次
炳杳の火
う老の火
地退の夢
離不の火
天剣の夢
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
268
静かではあるが、ここから面白くなってきそうな予感がする巻。岳飛の南方開拓がスタート。一歩先を行く秦容は十万人規模の集落作りに着手。南パートは、岳飛と骨朗の交流が一番印象的。塩を発見した時にはワクワクした。しかし、久々に梁山泊の面々の人間模様に見所が満載で、韓成の家族模様や、土理緒とのやり取りにはかなり心を動かされる。郤妁との関係が修復されないかと、ひそかに応援。ついに再登場の蔡豹は、次の巻あたりで何かありそう。宣凱が、史進に背中を押され、万里風で駆けて求婚しにいくシーンはシリーズ屈指の名場面。2022/02/28
しんごろ
167
嵐の前の静けさ。南宋との交易の奪い合いもそろそろという感じ。それに伴う梁山泊と南宋による水軍の戦いもそろそろ。そんな中で、秦容の開墾は、ひとつの壮大な計画に向かって突き進んでいく。一方、岳飛は…、岳飛……おまえもか!男と女の幸せあり、別れ?ありのまさにラブゲーム。梁山湖からいるメンバーも高齢になり、何を想うのか。戦いがなくても、人間ドラマを楽しませてくれる。果たして水軍の戦いは、いつ始まるのか、じらされたまま読了。北方謙三マジックにしてやられたわ。2019/08/27
sin
55
梁山泊の南方開発局はブラック企業である。戦場で死と隣り合わせにあった者達は良い。己れの技量で役立とうとする者が10倍の能力を要求される。戦だと叱咤され追い詰められる。まるで梁山泊を待ち受ける運命に急いで方舟を用意しなければならないかのような振舞いに思えてならない。そして中華はその歴史の中で幾度も南征に頓挫しているが、本作では岳飛がどういった役割を果たすのか?“梁山泊伝”は嵐の前の静けさである。2019/04/24
アルピニア
52
燕青が李師師を刺激したことにより青蓮寺が動き出し、陳家村をめぐって裏の戦いが幕を開ける。岳飛が南で再び「飛」の旗を揚げる。宋が倭との貿易に食い込もうと動き始め、梁山泊水軍と宋水軍の衝突も間近。心に残ったのは、張朔と岳飛の会話。「戦人はな、力のかぎり闘った相手のことは決して忘れん」「父はいい相手と闘ったのだ」「夥しい死のひとつであり、そしてたったひとつの死でもある」北方さんが描く戦人は勝っても負けても清々しくそして哀しい。2021/11/29
ポチ
47
秦容の村も順調に発展し、岳飛もお隣さんで旗を揚げて岳家軍再びですね。南宋の水軍が動き出しそうですね。戦いも近いか。2022/04/30